2025.08.11 upload
倉野尾成美が戦後80年の夏に映画で魅せる! 新米ナースの成長とAKB48総監督の使命
国民的アイドルグループAKB48の総監督として活躍する倉野尾成美が、映画で新米ナース・真関智世役に挑戦。閉鎖病棟を“特殊機密施設”として使っていたという設定の映画『ハオト』の、共演者との絆やリアルな現場の雰囲気の中で繰り広げられた撮影の裏話を語る。戦後80年の節目に贈る、楽しさと深い問いかけが共存する作品の魅力とは? 女優として役に真摯に向き合い、AKB48の20周年イヤーを牽引する総監督としての熱い思いまで、彼女の多面的な魅力に迫ります。
ーーこの映画に出演したきっかけを教えてください。監督とは以前もご一緒だったそうですね?
監督の丈さんから再びお声がけいただいたのがきっかけです。前回の作品『いちばん逢いたいひと』(2023)でもご一緒させていただいたご縁で、今回も参加させていただけて本当に嬉しかったです。信頼して呼んでいただけたのかなと思うと、すごくありがたいなと思います。
ーー撮影はいつ頃、どこで行われましたか?
撮影は2年前、2023年5月に長野県の佐久市で行いました。“特殊機密施設”が舞台の作品だったので、ずっと同じ場所での撮影だったのですが、共演者の皆さんが本当に素晴らしくて! 前回の作品では一人で演じるシーンが多かったのですが、今回は掛け合いのシーンが多く、毎日ドキドキしながら現場にいました。1週間ほど滞在したと思うんですけど、毎シーン緊張感でいっぱいでした。
ーー衣装についてどう感じましたか?
衣装は、アイドルが着るような華やかなナース服とは全然違ってすごく本格的でした。ナースキャップをして、髪は全部アップで、前髪もほとんど出さないスタイル。最初は「この見た目、大丈夫かな?」って少し心配だったんですけど(笑)、当時のリアルなナース服のおかげで、役に入りやすかったなと感じています。シンプルだけど、すごく役にフィットした衣装でした。
ーー長野県佐久市のロケ地について、どんな印象でしたか?
ロケ地も本当に印象的でした! 元々学校だった建物らしいのですがかなり古くて、床が「ギシギシ」と鳴るんです。「よくこんな建物が残ってるなー」って思ったりもして(笑)。あの古びた雰囲気が作品の時代感をしっかり出していました。セットのようでいてリアルな古い建物そのもので、ちょっとドキッとする瞬間もありましたけど、すごく素敵な空間でした。
ーー共演者で特に印象に残っている方はいますか?
共演者の皆さんが本当に印象深いんですが、特に高島礼子さん。前回の作品ではお母さん役でご一緒させていただいたのですが、今回は師弟関係のような役柄でした。普段は「大丈夫よ!」って優しく声をかけてくれる方なのに、役に入るとすごく厳しくて(苦笑)。そのギャップにいつも驚かされますし、すごく引っ張っていただきました。 現場で空気が少し重くなったときも、「さあ、皆さん頑張っていきましょう!」と積極的に声をかけてくれて、場の雰囲気をパッと明るくしてくれるんです。本当にかっこいいなっていつも思いますね。
ーーAKB48を卒業されたばかりの村山彩希さんとの共演はどうでしたか?
村山彩希(ゆいり)さんとの共演は、なんだか不思議な感覚でした。メンバー同士でお芝居をする機会ってほとんどないので、彩希さんが初めてだったんです。同じグループの仲間がいるってだけで、心強かったですね。「ちょっと緊張するよね」なんて言いながら、お互い支え合ってました。撮影当時はまだAKB48のメンバーだったんですけど、1週間ほど前に卒業されてしまって(2025年6月取材時)、ちょっと寂しい気持ちもあります。
ーー外部での演技は、グループ内とは感覚が違いますか?
同じ境遇じゃないですけど、同じ思いを持ってる人がもう一人いるというのは心強いです。
ーー共演者で他に衝撃を受けたエピソードはありますか?
片岡鶴太郎さんも本当にすごかったですね。ご一緒するシーンは少なかったのですが、掛け合いのシーンですごく緊張してしまい…。私の役は“しっかりしなくてはいけない”のに“少し抜けてる”というシーンだったんですけど、リハーサルで私が「え、なんでしたっけ?」って焦っちゃって。鶴太郎さんの普段の落ち着いた雰囲気と、役の軽やかな感じのギャップがすごく面白くて、圧倒されました。
ーーご自身の見どころと、映画全体の見どころを教えてください。
私の見どころとしましては、自分で言うのは少し恥ずかしいんですけど、一生懸命仕事に取り組む新米ナースの役で成長していく姿を少しでも表現できたらと思っていました。突っ走ってしまう瞬間や焦ってパニックになるところは、昔の自分と重なる部分があってすごく共感しながら演じました。 恋心も描かれているのですが、特殊機密施設という環境なので、前面に出しすぎないように、視線の加減とかすごく悩みながら演じています。監督からは「もっと笑ってもいいよ」「もっと喜んでる感じを出して」ってアドバイスをいただいて、ちょっと可愛らしいシーンになっていたら嬉しいなって(笑)。まだ完成版を見てないので、どこが使われているかドキドキですが。(2025年6月取材時)
映画全体の見どころは、病院の中で繰り広げられる日常や人間ドラマ。楽しい瞬間もあるけど、「これって本当に楽しいのかな?」と考えさせられるシーンもあってすごく深い作品です。戦後80年の節目の作品ということもあって、戦争を知らない世代にも届くように、少しカジュアルに描かれている部分もあると思います。いろんな世代の方に響く、入り込みやすい作品になっているはずです。
ーーはい、では近況について教えてください。AKB48の総監督はどうですか?
この映画の撮影時はまだ総監督じゃなかったんですけどメインの撮影は2年前で、桜のシーンだけ1年後に撮っていてその時には総監督になっていました。総監督って本当に大変で(笑)。最初の1年は「絶対頑張る!」という気持ちだけで突き進んでいたんですけど、就任してみて見えないところで動いている仕事の多さに驚きました。
ーー今後、総監督としてどんなことを目指しますか?
今はAKB48が20周年イヤーなので、全国ツアーや12月の武道館6公演に向けて全力で取り組んでいます。
卒業した先輩方とも共演できる機会があるので、自分がどこまで総監督を続けられるかわからないですけど、歴代総監督の皆さんとも一緒に、48グループ全体を盛り上げていきたいです。最近、高橋みなみ(以下、たかみな)さんとも連絡を取れるようになって、お力を借りながらいい融合を作れたらなって思っています。
ーー高橋みなみさんとはメンバーとして一緒だった時期はありましたか?
2年くらい一緒だったんですけど、私が入ったばかりでそんなに目立った活動をしてなかった頃だったんですよね。結局、卒業コンサートでようやく1、2曲一緒にできたくらいで、入れ替わりみたいな感じでした。たかみなさんがAKB48の前半10年を支えて、私が後半10年を知ってるので、先輩方と一緒にいい化学反応ができたらいいなと思っています。
ーー個人的な野望やハマっていることはありますか?
お仕事で言うと、やっぱりお芝居の仕事は続けたいなってずっと思っています。最初の映画のときも同じことを言ってたと思うんですけど(笑)、個人的にお芝居に挑戦できたらいいなと。でも、今は総監督業で時間が結構取られちゃってるので、時間ができたらまた挑戦したいです。
ーー総監督の具体的な仕事で、シェアできるものがあれば教えてください。
メンバーをまとめるのが大きな役割で、今はチーム制がないので43人全員をまとめる業務をしています。コンサートのときとか、セットリストの会議に参加して「今のメンバーに合うのはこういうのだよね」って提案したり、運営スタッフさんとメンバーの架け橋になるのが主な仕事です。セットリストの会議は結構大変で、どう魅せたいか、どんな方向性がいいかを話し合ったり。メンバーでもあるし、少しスタッフさんみたいな動きもするので、どっちにも寄り添いたいときが一番難しいですね。
ーーそういうとき、どちらを優先しますか?
たかみなさんに相談したら、「7:3でメンバーに寄り添った方がいいよ」ってアドバイスをいただきました。メンバーとしてステージに立つので、メンバーの気持ちを大切にしつつ、スタッフさんの思いも伝える役割を心がけています。どっちの気持ちもわかるから、噛み合わないときは「どうしたらいいかな」って悩むんですけど、メンバー寄りに立って、スタッフさんにも「メンバーはこう思ってるよ」って伝えるようにしています。
というような感じで映画も総監督業も、全部心から大切に取り組んでいます。この作品がいろんな人に届いて、少しでも心に残ったら嬉しいです。AKB48も20周年でさらに熱く進むので、ぜひ応援してください!
ーーありがとうございます。
▼あらすじ
初夏のある日、警察署に90歳を超えた一人の老人が甥っ子の刑事宛に訪れ、「人を殺した」と告白。老人は、太平洋戦争末期の特殊施設の話を始める。そこは、原爆開発を手掛ける博士や戦況を100%予知する男がいる、特殊機密施設。
海軍の将校・蓬が、ハワイ生まれの日系人である米国の諜報員・津田を二重スパイとして雇い、施設に連れてくる。蓬は、ソ連に仲介してもらい、和平交渉を進めようと、日系ソ連人のソ連大使と陸軍将校の森本を施設に招こうと画策。方や米国は、津田の存在を怪しみ、同じく日系ハワイ人の田中を送り込む。蓬の親友である水越は、何を思って軍を辞めたのか。藍が未来に放つ白い伝書鳩は、はたして何を伝えるのか。
▼キャスト・スタッフ
原田龍二 長谷川朝晴
木之元亮 倉野尾成美 村山彩希 三浦浩一 二瓶鮫一 植松洋 マイケル富岡 金城大和 バーンズ勇気
片岡鶴太郎(特別出演) 高島礼子
監督 脚本 プロデューサー 丈
配給 渋谷プロダクション 製作 JOE Company
2025/日本語/STEREO/アメリカンビスタ/117min
© JOE Company
▼公式SNS
オフィシャルサイト https://haoto-movie.com/
X https://x.com/haotomovie
FaceBook https://www.facebook.com/haotomovie/
☆倉野尾成美 Narumi Kuranoo
2000年11月8日生まれ。熊本県出身。
2014年からAKB48チーム8の熊本県代表メンバーとして活動。2017年、映画『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』で映画初出演。2024年よりAKB48グループ4代目総監督となる。2023年に、主演作『いちばん逢いたいひと』及び『ガールズドライブ』が公開された。
公式プロフィール https://www.akb48.co.jp/about/members/detail.php?mid=210
X https://x.com/Kuranoo_Narumi_/
Instagram https://www.instagram.com/noochan_1108/
YouTube https://www.youtube.com/@narutaochannel
インタビュー マンボウ北川
撮影・文 記者J
