2025.06.05 upload

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北村優衣インタビュー!映画『永遠の待ち人』で見せた“静かなる狂気”と余白の演技

「愛は信じること」――そう言い切る彼女は、本当に現実に存在してるの?
映画『永遠の待ち人』で北村優衣が演じたのは、3年間ずっと恋人を待ち続ける女性・美沙子。不思議で、ちょっと切なくて、でもどこか強くて。幻想と現実のあいだをふわりと漂うその存在に、“信じる”って何だろうと考えさせられる。
そんな北村さんに、演技へのこだわりや役との向き合い方を聞きました。ぜひインタビューもお読みください。

ーーなかなか難しい映画でした。
そうだと思います。本当にこれが現実なのか、はたまた全部妄想なのか幻想なのか、そういう捉え方もできる作品だったんじゃないかな… ほんとに盛りだくさんで。

ーーどういう風にして出演することが決まりましたか?
太田慶監督が、私が以前出演した『ビリーバーズ』という作品を見て下さっていて、今回の作品に出てほしいとオファーして頂きました。『ビリーバーズ』で演じた役柄が信仰が強い女性だったんですけど、信じるというところが、今回の私演じる高村美沙子にも通ずるところがあるんじゃないかというところを見て下さったのだと思います。

ーーいつ頃の撮影でしたか?
2年半前になります。まあまあ前ですね。2022年11月ぐらいです。

ーー撮影場所は東京なんですよね?
東京です。お台場の近くで朝から晩まで撮ってました。木のシーンは、自然豊かなところで空気が美味しくて良かったです。こんな近場にこんな自然を感じられる場所があるんだと思って撮影していました。

ーー撮影の時の思い出とか、印象に残ってることは?
撮影あるあるなのですが、撮る順番がバラバラだったので時間がない中での撮影でしたけど、「このシーンは篠田泰明(役:永里健太朗)と会って1日目だよね」と確認しながら、ひとつひとつ丁寧に撮影しているのが印象的でした。
あと、色々ある願掛けのシーンで、寝ている人の頭か手にレモンを乗せられたら待っている人が現れるというシーンが本当はあったんですね。その寝ている人の役をやったのが監督だったんですけど、監督が1番楽しそうにウキウキやっていたのに、完成した映画を見たら、シーンごとなくなちゃっていて(笑)。あんな楽しそうだったのにカットしたんだと思って(笑)。面白かったです。

ーーそうすると監督さんはどこにも出演なしで。
今回は出ていないですね。

ーー共演者の印象はいかがでしたか?
主演の永里さんは変わった人で、本当にこの役にぴったりだなと。読めないというか、何を考えてるのかわからない感じが面白いなと思ったので、変に距離を詰めずに、観察してるぐらいがこの役にもきっと合ってるだろうし、変に親密になってもあまりよくないと思ったので、様子を伺う感じで撮影してました。

ーーちょっと不思議な世界観。演じる時に特に気を付けたことはありましたか?
美沙子という役が現実離れしている役だなと思ったので、自分の中で現実と妄想の区別を曖昧にしたまま演じました。そのほうが見ている方も余白を楽しめるんじゃないかなと。哲学のセリフがあったり、言葉の力が強い作品だったので、クリアに伝えることをすごく意識しました。そこに監督の思いが詰まってるなと思います。

ーーどんな人にこの映画を見てもらいたいですか?
美沙子は、愛や生きる意味や永遠とは何なのかといういろんな定義を自分の中で持っている人なので、自分なりの定義を持っている人も見ていて面白いと思いますし、愛って何なんだろうと思っているようなさまよえる人たちにも刺さってくれればいいなと思っています。

ーーナイフが出てくるシーンがいくつかありますが、それぞれ何か意味があるのでしょうか。
“ナイフ”というところが強調できればいいなと思いました。演出家の目線かもしれないですけど、“ナイフ”を拾ったことによって美沙子と出会ったり、“ナイフ”から連想させられる美沙子の自殺願望かもしれない。なぜ持っていたのかというところはリンクはしているのかなと思います。

ーー“ナイフ”もいろんなとこに出てくるんで。本当にあるのか…原作もこのようなテイストなのでしょうか?
モチーフになったドストエフスキーの小説も、ちょっと現実離れで幻想っぽいです。劇中の泰明の部屋も何もないですし。小説を読んだ時に感じたヒロインの女性が神秘的で可愛らしい感じは監督が踏襲したのかなと思いました。

ーー北村さんの役的な見どころと作品全体の見どころをお願いします。
美沙子としての役柄は、なぜそこまで信じられるのって疑問を抱く方が多いと思うんですけど、それを深掘りするのがきっと楽しいだろうなと思います。映画の醍醐味じゃないかなと。なんでこの人はこういうことしたんだろうと考えたり、美沙子の確固たる定義みたいなものを、自分と照らし合わせて考える機会を持ってくれたらいいなと思います。人生の意味とは何なんだろうと提示してくれる役だと思うので、そこを注目して頂きたいです。

作品全体では、これは現実なのか?という世界観の中で、1人の男性が過去の自分の後悔から美沙子という人物と出会って前に進めてるのか、どう変わっていくのか、、というところも見どころなんじゃないかなと思います。

ーー他にも公開作があるんですね。
そうですね、『YOUNG & FINE』とか、『となりの宇宙人』とか。以前、『ビリーバーズ』でご一緒してた方と一緒にやった作品があります。どちらも爽快で愉快なので、よかったらぜひ(笑)

ーー公開日が6月ですが、梅雨の思い出ありますか?
もう大っ嫌い!!(笑)。洗濯物も干せないし、あまりいい思い出がないです!!。

ーーじゃあ、最近ハマってるものは?
麻雀です。Mリーグが大好きなので、月火木金は欠かさず家にスタンバイして、それを見ながら飲んでます(笑)。推しができるぐらい、見るのもやるのも大好きです。運と実力のバランスがちょうどよくできているゲームだなと思っていて、芸能界みたいじゃないですか。運だけあっても勝てないし、実力だけあっても勝てないし。なんで麻雀が好きなんだろうと考えると、そういうところが似てるからなのかなと思います。

ーープロ雀士に転向するとかはどうですか?
好きだからこそ仕事にしたくないんですよ。麻雀を仕事にするようになったら麻雀嫌いになると思うんですよ。好きなままで終わりたい。でもちょっと気が向いたら本気で頑張りますけどね(笑)。

ーーありがとうございます。

 

▼あらすじ
仕事中心で家庭を顧みることのなかった泰明(永里健太朗)は、妻の麻美(高崎かなみ)が去ったショックで鬱になり会社を休職しており、唯一の話し相手は、たまに手土産を持って様子を見にやってくる同僚の岡崎(ジョニー高山)と鉢植えである。ある日、ぼんやり道を歩いていた泰明は美沙子(北村優衣)とぶつかり、美沙子がバッグから落としたナイフを拾う。泰明は美沙子の後を追い、ベンチで本を読んでいる美沙子に話し掛けると、美沙子は恋人・慎一(釜口恵太)を3年間毎日そのベンチで待ち続けているという。「彼はもうあなたのことを忘れてるんじゃないですか」と泰明は言うが、美沙子は「愛は信じることです」と強い意志で恋人を待ち続ける。美沙子に心惹かれた泰明は、美沙子のもとに通い始める。泰明は、美沙子が迷いなく話す愛の定義を聞く度、自分と元妻の関係を反省。もし美沙子が想っている人が自分だったら、と考え、「何か変えてみることでこの悪循環から抜け出せるような気がする」と提案してみるが…。

▼予告

▼キャスト・スタッフ
出演:永里健太朗 北村優衣 高崎かなみ
釜口恵太 藤岡範子 ジョニー高山

監督・脚本・編集:太田慶
配給:OTAK映画社
2023年/日本/カラー/16:9/83分 (C)太田慶

公式サイト:https://eien-machibito.com/
公式X:https://x.com/eien_machibito
公式Facebook:https://www.facebook.com/eienmachibito
公式Instagram:https://www.instagram.com/eienmachibito

2025年6月6日(金)~6月12日(木)池袋シネマ・ロサにて公開ほか全国順次公開

★トークイベント開催(登壇者は以下の通り)(予定・敬称略)

6/6(金)18:15~上映後
永里健太朗 北村優衣 釜口恵太 藤岡範子 ジョニー高山(以上、出演)太田慶(本作監督)

6/7(土)17:30~上映後
永里健太朗 北村優衣 高崎かなみ(以上、出演) 太田慶(本作監督)

 

☆北村優衣 1999年9月10日生まれ。神奈川県出身。
2013年に女優デビュー。2020年に『かくも長き道のり』(屋良朝建監督)で映画初主演。2022年、『ビリーバーズ』(城定秀夫監督)で“副議長”役を演じ、注目を集める。主な映画出演作に『13月の女の子』(20/戸田彬弘監督)、『コーポ・ア・コーポ』(23/仁同正明監督)、『ブルーイマジン』(24/松林麗監督)など。

オフィシャルプロフィール https://www.knockoutinc.net/artists/?id=1697529300-776290
X https://x.com/Kitamura_Y910
Instagram https://www.instagram.com/kitamura_y910/

 

 

スタイリスト 豊島今日子
ヘアメイク ビューティ★佐口(OFFICE BEAUTY)

 

 

インタビュー マンボウ北川
撮影・文 記者J

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記者J

地球上すべての美しい女神を求め東奔西走。今でいう推し活をむかーしから実践していた漢

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