2025.12.28 upload
田牧そら、声優初挑戦を振り返る──劇場アニメ『この本を盗む者は』で出会った“想像する芝居”
劇場アニメ『この本を盗む者は』で、田牧そらが踏み出したのは、声だけで物語を紡ぐという未知のフィールドだった。
「本屋大賞ノミネート作」を原作に、“本泥棒”を追って呪われた物語の世界を旅する本作は、「行こう、盗まれた真実をつかまえに」というキャッチコピーの通り、謎解きと感情が交差する冒険ファンタジー。幻想的でどこか危うい世界観の中で、言葉と想像力が物語を前へと押し進めていく。
田牧が演じるのは、主人公・御倉深冬(みくらみふゆ)と行動を共にしながら、ときに寄り添い、ときに背中を押す存在・真白(ましろ)。完成された映像に声を当てるのではなく、ラフの絵の中で感情を立ち上げていく──そこには、想像力をフルに使う“考える芝居”が求められていたという。初めて尽くしの声優挑戦に戸惑いながらも、監督や共演者と対話を重ね、少しずつ真白という人物を自分の中に落とし込んでいった田牧。その過程で得た気づきは、彼女自身の表現を確実に更新していった。
声優という新しい表現領域を通して見えてきたもの、そしてこれから目指していく芝居のかたち──
“今の田牧そら”が、この物語とともに刻まれている。
ーー今回の役は、どのような形で決まりましたか?
マネージャーさんから「声優のお仕事、決まったよ」という感じで、突然伝えられました。
ーーそれはプレミアですね(笑)。オファーがあったということですよね?
そうです!
ーー声優のお仕事は初めてでしたか?
初めてです。お話をいただいた時は驚いたのですが、「挑戦してみたいな」と思っていたので嬉しかったです。原作と企画書、参考映像を見させていただいて、読んでみたら「面白いな!」と思いました。特に参考映像がすごく綺麗で、「絶対やりたい」とお伝えして挑戦することになりました。
ーーキャラクター的には、献身的に主人公・深冬(役・片岡凜)を助けるような役ですが、言葉遣いなどで役作りをした部分はありますか?
原作の小説を読んだ時に、真白に焦点を当てながら動きや表情の描写を意識して読んでいました。あとはキャラクターの絵を見て、自分の声と照らし合わせながら練習しました。
ーー収録はおひとりですか? 複数人ですか?
今回は片岡凜さんと2人での収録でした。“お芝居しやすいように”ということで一緒に演じさせてもらえたので、私としてはとてもやりやすかったです。お芝居の空気感を肌で感じられていい経験になりました。
ーー印象に残っているセリフやシーンはありますか?
深冬ちゃんとの冒険を通して、甘えたり頼もしくリードしたりと、真白のパーソナリティが出てくる部分が物語の中盤にあるのですが、自分の中で特に印象に残っているのは、犬に変身するシーンです。今までの真白とはまた違った一面を見せられたらいいなと思いながら、少しかっこいい声を意識して演じました。
ーーあれは犬なんですね。狐ではなく?
犬なんです。深冬ちゃんは狐で、私は犬なんですよね。ちょっと不思議なところがたくさんあるんですけど、犬です(笑)。
ーーこれまで幅広いジャンルで多数の作品に出演されていますが、今回の作品で得た新しいものはありますか?
全部新しかったです。今までは実写のお芝居しかやっていなかったので、直接、自分が目で見て肌で感じたものを表現することが多かったのですが、今回は想像しながらやるというのが、すごく新しい経験でした。その分、事前の準備がとても大切で、今までよりもさらに考えながらお芝居ができるようになったかなと思います。自分のできることは精一杯やりました。
ーー完全にアニメが完成してから声を当てるワケではないんですよね?
最初の方は完成に近いカットも多かったのですが、進めていくうちにどんどん途中段階のラフな絵になっていって…。それも難しさというか、新鮮さがありました。表情が見えないまま演じるのも不思議な感覚だったんですけど、監督や皆さんと一緒に役を作り上げていく感覚がすごくあって、話し合いながら一つひとつ進めていく感じだったので、それもまた新しい楽しさでした。
ーー片岡凜さんと共演してみて、お互いの演技で刺激になったことはありましたか?
ずっと一緒にやらせて頂いたので、全部刺激的でした! 掛け合いが多かったので、深冬ちゃんの声を聞いて、私が芝居をするという形で進められて、本当に助けていただきました。個人的には、深冬ちゃんと片岡さんがすごく重なって見えて、真っ直ぐなところなどの人柄が片岡さんにも感じられました。一緒に演じたことは、本当に心強かったです。
ーー作品タイトルが『この本を盗む者は』ですが、自分がどうにかして盗みたいものはありますか?
計画性のある人にすごく憧れるので、そういう部分が自分にもあったらいいな… とは思います。
ーー計画性がないタイプなんですか?
本当にないんですよ。めちゃくちゃ3日坊主ですし。計画を立てて、計画通りに行動できる女性になりたいとずっと思っているので、そういう能力というか、そういう部分は欲しいなと思います。
ーー師走ですが、今年1年を振り返っていかがですか?
振り返ってみると、めちゃくちゃ楽しい1年でした。今回の声優のお仕事もそうですし、チャレンジできる場所がすごく多かった気がします。やりたいことや目標が少しずつ叶っている感覚もあって、とても楽しくて充実した1年でした。
ーー今後の目標や野望があれば教えてください。
やはりお芝居や作品に関わることが好きなので、いろんな作品に出させてもらえたらいいなと思います。本当にいろんな役にも挑戦していきたいですね。
ーー特に「これをやりたい」というものはありますか?
強いこだわりはなくて、任せてもらえるなら何でもやりたいという気持ちなんですけど…
例えば今までは学生役が多かったので、社会人の役だったり、あとは舞台もやったことがないので、そういうものにも挑戦してみたいなと思います。
ーー舞台は未経験なんですね。
未経験です。舞台も、声優とはまた違いますし、実写の映像のお芝居とも違う表現方法があると思うので、挑戦してみたいなと。私自身、劇場で舞台を観るのがすごく好きで、生の俳優さんのお芝居を観られるのがとても楽しいので、自分もお客さんに直接届けられるような機会があったらいいなと思います。
ーーありがとうございました。
▼ストーリー
「本なんて、読まなければよかった……!」
書物の街・読長町(よむながまち)に住む高校生の御倉深冬(みくらみふゆ)。
曾祖父が創立した巨大な書庫「御倉館(みくらかん)」を代々管理する一家の娘だが、当の本人は本が好きではなかった。
ある日、御倉館(みくらかん)の本が盗まれたことで、読長町(よむながまち)は突然物語の世界に飲み込まれてしまう。
それは本にかけられた呪い――“ブック・カース”だった。
呪いを解く鍵は、物語の中に―― 町を救うため、深冬(みふゆ)は不思議な少女・真白(ましろ)とともに本泥棒を捕まえる旅に出る。泥棒の正体は一体誰なのか?そして、深冬(みふゆ)も知らない“呪い”と“御倉家”の秘密とは……?
2人の少女が “本の世界”を旅する、謎解き冒険ファンタジーが開幕!
すべての呪いが解けるとき、あなたは奪われた真実と出会う――
▼予告
▼キャスト
片岡 凜 田牧そら
東山奈央 諏訪部順一 伊藤 静 土屋神葉
千葉 繁 鈴木崚汰 上田麗奈 関 智一 高橋李依 / 朴 璐美
▼スタッフ
原作:深緑野分「この本を盗む者は」(角川文庫/KADOKAWA刊)
監督/コンテ/演出:福岡大生 構成/脚本:中西やすひろ キャラクターデザイン/作画監督 :黒澤桂子
美術:草薙 色彩設計:村田恵里子(グラフィニカ)、加口大朗 CGディレクター:市川孝次(グラフィニカ)
2Dデザイン:久保田 彩(グラフィニカ) 撮影監督:戸澤雄一朗(グラフィニカ)
編集:重村建吾 音楽:大島ミチル 音響監督:郷 文裕貴
アニメーションプロデューサー:比嘉勇二 アニメーション制作:かごかん(株式会社かごめかんぱにー)
主題歌:YUKI「Share」(Sony Music Labels Inc.)
配給:角川ANIMATION 製作幹事:KADOKAWA 製作:「この本を盗む者は」製作委員会
▼URL
Official HP:https://kononusu.com/
Official X:@kononusu_anime(https://x.com/kononusu_anime)
Official TikTok: @kononusu_anime(https://www.tiktok.com/@kononusu_anime)
Official Instagram: @kononusu_anime(https://www.instagram.com/kononusu_anime/)
(C)2025 深緑野分/KADOKAWA/「この本を盗む者は」製作委員会
▼公開日
2025年12月26日(金) 全国ロードショー!
☆田牧そら
公式プロフィール https://www.tristone.co.jp/actors/tamaki/
Instagram https://www.instagram.com/sora_tamaki_official/
インタビュー マンボウ北川
撮影・文 記者J