2022.05.11 upload

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心揺さぶられる演技に感動!嵐莉菜、初出演&初主演映画で存在感をアピール

現役高校生でファッション誌『ViVi』の専属モデルを務める嵐莉菜の主演女優デビュー作『マイスモールランド』が全国公開された。本作は嵐演じる在日クルド人の高校生とその家族が直面する理不尽な社会的制裁に屈しながらも、もがいて自分たちの居場所をさがし成長していくという物語。実際に日本、ドイツ、イラン、イラク、ロシアの5ヶ国のルーツを持つ嵐が体当たりで挑んだ演技にはどこか郷愁を感じることとなるだろう。また第72回ベルリン国際映画祭で、日本初のアムネスティ国際映画賞の特別表彰を授与された。難しい心情を演じた嵐にインタビューができたのでご紹介する。

ーー この映画に出演することになったのはどのようないきさつで?
事務所からオーディションの話を頂いて、サーリャという役の設定を聞いて、「この役は私が演じたい」っていう気持ちがすごく大きくなって、オーディションを受けました。

ーーオーディションの時に印象に残ってることはありますか?
「例えば友達と話してるシーンで、友達に原宿行こうって言われるけど、サーリャは埼玉から出ちゃダメっていう設定があると想定して会話をしてみてください」というような台本が無いオーディションでした。

ーー女優デビュー作ですよね。しかも結果的にはご家族で出演することになったんですね?(笑)
家族の出演もオーディションだったんです。本当に全員集合っていう感じでしたね(笑)。すごいですよね。

ーー一応、皆さんオーディションを受けて。
父役のオーディションでは、すでにサーリャを演じることが決まっていた私が、父役の候補の方たちと一緒に演技をし、その中に実の父がいたのですが、弟妹役は全然知らない間に決まっていて「ああ、うちの弟妹が…」と驚きました。

ーー結果的にご家族集合になっちゃった。
結果的に集合しちゃった感じで、本当に、私が決まったから家族全員ってわけではなく、オーディションですね。それぞれオーディションで集まってしまったっていう。

ーーご家族で一緒に仕事をするっていうのはどうでしたか?
家族に自分の演技を見せることってなかなかなかったので、最初はやっぱり緊張して恥ずかしいっていうのが大きかったですね。ですが、 “ラーメンを食べてるシーン”だったり、そういう家族間でしか出せない雰囲気だったりは出せたのかなって思ったので、結果的に家族と一緒で面白かったですし、よかったと思ってます。

ーーお父さんにぶたれたところはどうでした?
実際にぶたれてないんですけど、やっぱりあそこのシーンは怖かったです。

ーーちなみにご家族の方はほぼほぼ演技の経験はない?
再現ドラマなどで演じることはありましたが、本格的な演技ははじめてです。

ーーなるほど。撮影はいつ頃に?
2021年の5月から6月ぐらいです。

ーーオーディションはいつ頃?
オーディションは結構前ですね。コロナ禍で何回かスケジュールが後ろ倒しになって。撮影期間も後ろ倒しになったので。 2020年の夏の終わり頃だったと思います。だから、撮影が始まって「ようやく」という感じでした。

ーーちなみにミスIDのグランプリをとったあと?
とった後です。ViVi専属モデルになった後ですね。

ーー映画の中で、特に印象に残っているというか、大変だったこととかってありますか?
一番演じるのが難しかったなと思ったのは、サーリャがパパ活の後に部屋で泣いていたところに聡太がやって来るシーンです。そこはすごくつらい感情で泣いてはいるんですけど、聡太が来てから平常だっていうのを伝えながらも泣いてるっていう…。そんな複雑な感情は自分でも抱いた事がないですし、人間が壊れたような感情を出すことって今までになかったので、かなり難しかったですね。そこのシーンは何回も撮り直しました。

ーーコンビニのシーンのようなやりとりは傷つく?
以前は傷ついてました。 外国人って言われる時点でやっぱり辛いというか悲しい気持ち。自分はずっと日本で生まれて育ってきてるから、別物扱いされている気になってしまって。私もよくレストランへ行った時に外国語のメニューを出されると、「あれ?」て思っちゃったりとか、もちろん相手には悪気はないとわかってるんですが、それで自分のアイデンティティを嫌になるっていうことは、ミックスルーツの人はほぼ経験したことあるんじゃないかなと思ってます。

ーー この映画のご自分の役的な見どころは?
私自身、演技をする上で意識した点でもあるんですけど、サーリャはもともと友達にも自分の国籍だったりは明かさない、自分のことを話さない子で、だからそういうシーンではできるだけ感情がわからないように、顔に出さなかったりとか、何を考えてるのかわからないように演じました。でも聡太に会って、すこしずつ自分の表情を表すように意識して演技をして。だから聡太と過ごしている時のサーリャの顔って一番幸せそうな楽しい顔をしていて、特に絵を描いているシーンだったり、聡太と出会ってから色々なサーリャの表情を見れると思うので、そういったサーリャの表情にも注目して欲しいなって思います。

ーー学校でもドイツ人と言ってますよね。
そうです。サーリャは学校では仲の良い友達にも自分はドイツ人だって言ってます。でも、初めて聡太にクルド人っていうことを明かして、聡太が自然とサーリャの居場所になっていたので、この作品の中で聡太はストーリー的にも本当に大切な重要人物だなって思ってます。もちろん、聡太と出会う前のサーリャにも注目して欲しいのですが、出会ってからのサーリャの心身共に成長して行く姿をぜひご覧頂けると嬉しいです。

ーー聡太君とは初恋みたいな感じ? 自分的なテンションではどのようなテンションで?
えー!? 私、自分で言うのもあれですけどフレンドリーなタイプで、本当に誰とでも仲良くなれるタイプなんですよ。男女性別年齢問わず。なので聡太役の奥平さんとはすごく仲良くなって、だからこそ演技では“初恋だし緊張している”っていう設定なので、できるだけ自分のフレンドリーさが出ないように頑張って抑えたんです(笑)。やっぱ、まあ、ちょっとドキドキはしましたが…。自分に起きているような感じがしたので「こうやってバイトしてる時に待っててくれたら、こんなにキュンとするんだ」とか、自分が初恋みたいな感じですごく楽しかったです。なので撮影では自分のテンションの高さを出さないように頑張ってました。

ーー映画全体の見どころを。
サーリャの話になっちゃいますが、最初は内気で、父親にもあんまり自分の気持ちを言えなかったんですけど、最後にむけてすごく自分の意思を強く言えるようになっていて、本当に状況は辛いけど、サーリャがすごく希望を持って、どうにかして家族で日本に留まろう、生きようとしているっていう感情が大きく動くシーンがいくつもあります。この映画は国籍関係なくいろんな方に共感してもらえる映画だと思っていて、サーリャって周囲のクルド人の人たちのお手伝いをたくさんしてるんですよね。国籍問わずそういう責任を負って、頑張っている子って世の中にいっぱいいると思うんです。そういう方も共感できるでしょうし、若い人はもちろん上の世代の方々も観て何か感じてもらえる部分があるといいなってすごく思ってます。

ーーベルリン国際映画祭で賞をとられましたが、そのことについてはどうでしょう?
本当だったらベルリンに行きたかったんですけど、叶わなかったんです。なので、実感が全然わかなくて、評価してもらえると嬉しいなというぐらいで。、表彰されたと聞いて「本当にこんな事起きるんだ!」と夢のような話だったので、国境を越えて作品を評価して頂けたのって本当に光栄なことだなあと思います。

ーー将来的な目標というか、野望とかそういうのがあれば伺いたいと思います。
今回の作品を終えて、自分が演技をすることの楽しさだったり、演技の魅力をすごく感じたので、もちろんモデル業をもっともっと進化させていく中で演技だったりとかさまざまな今までしたことのない挑戦、自分が見たことない世界を見てそれをどんどん吸収して、何でも任せてもらえるようなそんなカッコイイ女性になれたらいいなあって思っています。あとは最終的には日本と世界の架け橋になれるような存在になれたら一番いいなと!!

ーーありがとうございます。

 

 

あらすじ
17 歳のサーリャは、生活していた地を逃れて来日した家族とともに、幼い頃から日本で育ったクルド人。現在は埼玉の高校に通い、親友と呼べる友達もいる。勉強もがんばっていて、大学推薦が十分に狙える成績だ。将来は小学校の先生になりたい、という夢もある。
サーリャの母は数年前に亡くなり、今は父・マズルム、妹のアーリン、弟のロビンとの4人暮らし。日本語ができないクルド人の親戚や知人から頼まれて、彼らの生活に必要なことをサポートすることも、サーリャの役目である。
家ではクルド料理を食べ、食事の前にはクルド語の祈りを捧げる。「クルド人としての誇りを決して失わないように――」そんな父の強い願いに反して、子どもたちは、ごく一般的な日本の同世代の少年少女と同じように“日本人らしく”育っていた。
大学進学の資金を貯めるため、父に内緒で始めたバイト先で、サーリャは東京の高校に通う聡太と出会う。自転車で帰宅する道すがら、交流を深めていく2 人。寄り道した河川敷で、サーリャは聡太に、初めて自分の生い立ちを打ち明ける。一緒に過ごし、語り合う時間を重ねるうちに、いつしか聡太はサーリャにとって大切な存在になっていく。
ある日、チョーラク一家は、出入国在留管理局から、難民申請が不認定となったことを言い渡される。在留資格を失い、“仮放免”という状態になったサーリャたちは、今後、許可なしでは居住区である埼玉県から出られなくなり、就労までも禁じられる。さらに追い打ちをかけるように、父・マズルムが入管の施設に収容され、サーリャが進学を目指していた大学の推薦も白紙になってしまう……。

 

嵐莉菜 奥平大兼
平泉成、藤井隆、池脇千鶴、アラシ・カーフィザデー、リリ・カーフィザデー、リオン・カーフィザデー、韓英恵、サヘル・ローズほか

監督・脚本:川和田恵真 企画:分福
制作プロダクション:AOI Pro.
共同制作:NHK FILM-IN-EVOLUTION(日仏共同制作)
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
製作:「マイスモールランド」製作委員会   配給:バンダイナムコアーツ

2022年/日本/114分/5.1ch/アメリカンビスタ/カラー/デジタル

5 月6 日(金)新宿ピカデリーほか全国公開

公式HP  https://mysmallland.jp/
公式twitter  https://twitter.com/mysmallland

 

 

 

☆嵐莉菜(あらしりな)
公式プロフィール https://tencarat.co.jp/arashilina/
Twitter https://twitter.com/lina_arashi0503
Instagram https://www.instagram.com/lina_arashi/
TikTok https://www.tiktok.com/@kahafi0503

 

 

 

取材 マンボウ北川
撮影・文 記者J

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記者J

地球上すべての美しい女性を求め東奔西走。今で言う推し活をむかーしから実践していた漢

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