2024.05.17 upload

“出生前診断”をテーマにした映画『渇愛の果て、』で小原徳子の母親姿に括目せよ!

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グラビアアイドルとして鮮烈デビューをしてから、今や数々の作品で活躍している女優・小原徳子が出演する映画『渇愛の果て、』が5月18日より公開となる。この映画は監督・脚本・主演を務める有田あん(以下、小原の友人「あんちゃん」と表記)が友の出生前診断をきっかけに妊娠・出産について取材をし、実話を基に制作した群像劇だ。あらすじをみると少々重たい映画と思いがちだが、家族や人間愛を描いたハートフルな部分もあり、色々な意味で心に問いかけてくるストーリーとなっている。そんな映画の製作秘話などが小原にインタビューできたのでご紹介する。

 

ーー今回の作品に出演するいきさつを教えて下さい。
監督の有田あんちゃんとは、元々俳優として舞台で共演したのが最初の出会いでそこから仲良くなりました。この作品は最初舞台公演の予定だったのですが、コロナ禍で上演できなくなってしまって、どうしようか考えているあんちゃんと電話をしている時に、「監督として長編映画に挑戦してみたら?」という話をしたら「じゃあ挑戦してみようか」と映画化することになりました。私は舞台出演予定からの流れで映画にも出演することになりました。

ーー小原さんとの会話が映画化のきっかけになったということですね。
あんちゃんが「のりちゃん(小原徳子)が言ってくれて…」と公の場でも言ってくれるのですが、あんちゃん自身が常に色々なことに挑戦し続ける人なので、私が言わなくても映画化していたと思います。ガッツのある人ですから。

ーー他の出演者の方々も同じような流れで決まったのでしょうか?
同じような流れで出演してる方もいますが、舞台の予定が映画になったことで脚本も全く違うので、映画化が決まってからキャスティングされた方のほうがほとんどだと思います。

ーー話が出たのがいつ頃の話で、撮影時期はいつ頃でしたか?
舞台が2020年6月の予定だったので、撮影は、(出産を描くために3期に分け、)2020年9月、12月、2021年3月の3回です。

ーー難しいテーマの今作ですが、考えないといけないテーマでもありますよね。
私自身も今作で初めてちゃんと知りました。「こういう検査あるけど受けます?」と軽い感じで聞かれることが多いと聞いて衝撃でした。検査を受けない選択もできるのに「じゃあ受けられるなら受けます」と軽い気持ちで受けてしまって後で悩んでしまう方も少なくないと聞きました。“受ける受けないの選択ができるんだよ”ということを私自身がこの作品でちゃんと知ることができました。最初、なんとなく私も受けたいと思っていたのですが、この作品を経て「私は絶対に受けない」って思ったので、知ることって大事だなと思います。

ーーとりあえず受けておいたほうが安心みたいに思いがちですもんね。
思いがちですね。

ーー撮影で特に印象に残っていることはありましたか?
今回、キャストの方がすごく多いのですが、看護師役の廣川千紘さんが制作部で入っていたり、キャストがスタッフを担っていることも多いです。あんちゃんが「この人ともう一回仕事がしたい」という人を招集して作った映画なので、“実はスタッフも兼任しています”という方もけっこういて。そういう意味では、スタッフとキャストの関係が他の現場よりも密だったように感じました。みんなでひとつひとつ丁寧に作っていこうっていうのは、1シーンごとに感じました。あと、あんちゃんが脚本を作る段階からそれぞれのキャラクターや考えを大事に作ってくれたので、現場の空気で素のリアクションが出ることもありました。テーマがテーマだけに、考えさせられるシーンでは重たくなってしまうシーンもあるのですが、ほっと一息つけたりくすっと笑えるシーンも散りばめられています。

ーー小原さんの役は母親として先輩の設定。当初予定していた役柄のままでしょうか?
舞台の時は出演だけ決まっていて台本が出来ていたわけではなかったので、映画化する時にキャストのみんなでエチュードをしながら脚本を作っていくという流れでした。あて書きに近い部分もかなりあったなと思います。

ーー演じた役柄の注目してほしいシーンはありますか?
私が出産する時にカウンセラーから説明を受けるシーンが過去のシーンとして入ってるんですけど、母親として私がしっかりしなくてはいけないと強く感じたシーンでした。旦那が横でアワアワしていると大きい子供に思えて妙に冷静になりました(笑)。私のファンの方は男性の方の方が多いかもしれないので「女性ってこういう瞬間こんなに頼もしくなるんだ」と感じて観て頂けたら嬉しいなと思いますね。ジェンダーレスな時代で、結婚も出産も妊娠もしない選択をする人も多いけど、やっぱり赤ちゃんを産めるのは女性だけだし、男性はそばで支えることしかできない。そうなった時に“じゃあ何ができるのか”男性としてどういうふうにいられるのかを考えて欲しいなと思います。私の役としては健康な子供が生まれてくる設定だったので、主人公の眞希を演じたあんちゃんの心境とは全く違うものだったとは思うんですけど、里美の夫婦と眞希の夫婦、両方の旦那の立場だったらどうするか、想像しながら観て欲しいです。

ーー今作を通して、ご自身の結婚、出産や妊娠に対しての考えに変化はありましたか?
撮影する前と撮影した後と今と全部違いますね。撮影する前は、結婚も妊娠も願望が強くて、出生前診断もぜひ受けたいと思っていましたし、何に対しても前のめりだったんですけど、撮影を終えた時は、もし検査を受けて障害を持った子が生まれるという診断だった時に、周りが反対する可能性があるなと思い、私は反対されたくないから受けたくないなと思いました。もちろん、どの選択も肯定はしたいですけど。今は、仕事が楽しくなってきたというのもあるんですけど、結婚願望も妊娠願望もあまりないです。子供を授かること自体が奇跡で特別なことだし、独身の私からすると結婚するということもすごいことだと思うんですよ。全くの他人と家族になって、人間を産んで育てていくということはそれだけで奇跡だと思うんです。もしかしたら、何ヶ月か何年か経って、結婚したいって思う可能性はありますけど、今は特別なことだなって思います。

ーー差し支えなければ、もし結婚するならいくつくらいで結婚したいですか?
全然考えてないですよ。もしこのまま子供を産める年齢じゃなくなって、60、70、80歳になった時に、この人と結婚したいってなったとしても、いくつでも結婚したいですね。もし…、明日結婚したらごめんなさい(笑)。

ーー改めてですが、今回の役柄のみどころと映画全体のみどころを教えて下さい。
今まで私が演じてきた役と違って、里美は眞希の心を常に気にしながら寄り添ってあげる役です。友達としてどう接するかも見どころではあるんですが、あんちゃんと私の普段の仲の良さや関係性に近いので、素の私の部分も垣間見えるところがみどころかなと思います。全体的なみどころは、眞希の実の母親、父親、妹との家族のシーン。私がこの映画で一番好きなシーンなのですが、眞希が出産をして新たな家族を作っていくなかで、血のつながった家族だからこそ支えになる言葉にグッときました。この映画を観て、自分の家族に寄り添うきっかけになってくれたら嬉しいなと思います。多様化の時代といえども、どうしてもすべてを受け入れられるわけではないのが人間だと思うので、葛藤の部分もみどころとして見て頂けたら嬉しいなです。

ーー最後に、今後の仕事の展望について。
役者として出演はもちろん続けていきたいですし、脚本も書ける俳優になりたいです。映画美学校の脚本コースにも通って、4月に卒業しましたが、昨年は自分が初めて脚本を書いた映画も公開されました。出演と脚本とどちらも頑張っていきたいなと思っているので、どの形でも映画館で私の名前をたくさん見せられるように頑張りたいです。

ーー監督はどうですか?
いや、監督よりは、私の脚本を持って私を撮ってくださいと監督に売り込みに行きたいです!!

ーーありがとうございました。

 

▼あらすじ
山元眞希は、里美・桜・美紀の4 人から成る高校以来の親友グループに、「将来は絶対に子供が欲しい!」と言い続け、“普通の幸せ”を夢見ていた。妊娠が発覚し、夫・良樹と共に順風満帆な妊婦生活を過ごしていた眞希だが、出産予定日が近づいていたある日、体調不良によって緊急入院をする。子供の安否を確認するために出生前診断を受けるが、結果は陰性。胸をなでおろした眞希であったが、いざ出産を迎えると、赤ちゃんは難病を患っていた。

我が子を受け入れる間もなく、次々へと医師から選択を求められ、疲弊していく眞希。唯一、妹の渚にだけ本音を語っていたが、親友には打ち明けられず、良樹と子供のことで悩む日々。

そんな中、親友たちは眞希の出産パーティーを計画するが、それぞれの子供や出産に対する考えがぶつかり…

 

▼予告

 

▼クレジット
出演:有田あん 山岡竜弘
輝有子 小原徳子 瑞生桜子 小林春世 大山大 伊藤亜美瑠 二條正士 辻凪子
烏森まど 廣川千紘 伊島青 内田健介 藤原咲恵
大木亜希子 松本亮 関幸治 みょんふぁ オクイシュージ
監督・脚本・プロデュース:有田あん
監修医:洞下由記 取材協力:高杉絵理(助産師サロン)
撮影:鈴木雅也 谷口和寛 岡達也 編集:日暮謙
録音:小川直也 喜友名且志、西山秀明 照明:大﨑和 大塚勇人
音楽:多田羅幸宏(ブリキオーケストラ) 歌唱協力:奈緒美フランセス(野生児童)
振付:浅野康之(TOYMEN)
ヘアメイク:佐々木弥生 衣装監修:後原利基
助監督:藤原咲恵 深瀬みき 工藤渉 制作:廣川千紘 鈴木こころ 小田長君枝
字幕翻訳:田村麻衣子 配給協力:神原健太朗
宣伝美術・WEB:金子裕美 宣伝ヘアメイク:椙山さと美 スチール:松尾祥磨
配給:野生児童
2023/日本/97分/カラー/アメリカン・ビスタ/ステレオ
©野生児童

公式サイト:https://www.yaseijidou.net/katsuainohate
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映画『渇愛の果て、』
新宿K’s cinema 5月18日(土)〜5月24日(金)連日12:15~上映

 

▼トークイベント_情報
5/18(土) 有田あん(監督・脚本・主演)、山岡竜弘、小原徳子、瑞生桜子、二條正士(以上、出演)
5/19(日) 有田あん(監督・脚本・主演)、山岡竜弘、辻凪子(以上、出演)、藤原咲恵(出演・助監督)
5/20(月) 有田あん(監督・脚本・主演)、輝有子、小林春世、内田健介、松本亮、関幸治(以上、出演)、洞下由記(監修医)
5/21(火) 有田あん(監督・脚本・主演)、野本梢(映画監督)
5/22(水) 有田あん(監督・脚本・主演)、大塚菜々穂、峰つばき、工藤成珠、みょんふぁ(以上、出演)
5/23(木) 有田あん(監督・脚本・主演)、伊島青、廣川千紘(以上、出演)、高杉絵理(取材協力助産師)
5/24(金) 有田あん(監督・脚本・主演)、山岡竜弘、輝有子、小原徳子、瑞生桜子(以上、出演)

 

大阪 シアターセブン 6月1日(土)〜6月7日(金)
6/1(土)・2(日) 13:30
6/3(月)・4(火) 12:20
6/5(水)~7(金) 18:50

 

 

☆小原徳子
1988 年3 月22 日生まれ。長野県出身。
2003 年にグラビアアイドル・木嶋のりことして活動開始。2014 年の主演作『ちょっとかわいいアイアンメイデン』で話題を集める。俳優として映画・舞台を中心に多方面で活躍する他、近年は脚本家としても活動しており、2023 年には初脚本作『いずれあなたが知る話』が公開された。

公式サイト https://decipher.co.jp/kohara/
X https://twitter.com/norikokohara
Instagram https://www.instagram.com/noriko_kohara/
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCHwH3VN4JARx0BxM0iznTLg

 

 

インタビュー マンボウ北川
撮影・文 記者J

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