2026.06.15 upload

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石川恋、『祝山』で出会った“言葉にならない恐怖” 「今なら同じ芝居はできない」

ホラー作家として数々の人気作品を生み出してきた加門七海の長編小説『祝山』が映画化された。

橋本愛主演(鹿角南役)で描かれる本作は、心霊スポットとして噂される山をきっかけに巻き起こる不可解な出来事と、人知を超えた“何か”に侵食されていく人々の姿を描く異色のジャパニーズホラー。単なる恐怖体験にとどまらず、信仰や禁忌、人間の内面に潜む不安までも映し出す作品として注目を集めている。

そんな本作で、主人公を恐るべき出来事へと導く同級生・矢口朝子を演じたのが石川恋だ。物語の中で最も大きく変貌していく人物を演じた石川は、「今なら同じ芝居はできない」と振り返る。説明のつかない恐怖と向き合いながら作り上げた役への思いや、作品に漂う“言葉にならない気持ち悪さ”について話を聞いた。

ーー今回の映画はいつ頃どのようにして出演が決まりましたか?

2023年頃にオファーをいただき、脚本を読ませていただきました。その後、撮影の延期などもあって実際に撮影できたのは昨年の秋になります。私は元々ホラー映画が得意なジャンルではないんですけど、今回演じた矢口朝子という役がとても魅力的でやりがいのある人物だと感じたので、「ぜひ挑戦してみたい」と思いました。最初にいただいた脚本は今の形とはかなり違っていたんですが、それもまたとても面白かったです。

ーー苦手なホラー映画ですが、実際に演じてみていかがでしたか?

矢口というキャラクターはとにかく抽象的で説明の難しい人物でした。人知を超えた何かに侵食されることによって、少しずつ人格や理性が失われていく役だったので、怖さを表現するというよりも、その変化をどう表現していくかを常に考えていました。もちろん私自身、そのような経験をしたことはないので、想像しながら役と向き合うしかなくて…。その過程をどう見せるかが難しかったですし、一番大切にしていた部分でもありました。

ーー特に大変だったことはありますか?

すべて大変でした(笑)。
特に難しかったのは、矢口が少しずつ人間らしさを失っていく過程のバランスです。動物は本能で生きていると思うんですけど、矢口は次第に“生きること”そのものへの執着を失っていっているのではないかと思いました。その中で、どれほど恐怖を感じているのか、自分の中に入り込んできた異物にどこまで抗うのか、あるいはどの程度受け入れてしまうのか――。その塩梅をワンシーンごとに考えながら演じていました。どういう状態が正解なのかを探り続ける作業だったので、本当に難しかったです。

ーー撮影の時に印象に残っていることはありましたか? 現場は怖くなかったですか?

個人的には、撮影中に怖いと感じることはまったくなかったですね(笑)。ただ、スタッフさんやキャストの皆さんの中には、そういう空気を感じやすい方もいて、「なんだかここ気持ち悪いかも…」という場所があったみたいなんです。後からその話を聞いて「私、その場所で大きなメロンパン食べてたな」と思い出して…。本当に何も感じなかったので、鈍感なのかもしれないです。

ーーロケで印象に残っているエピソードはありますか?

橋本愛さん(鹿角南役)とは今回が初共演だったんですけど、すごくチャーミングな方でした。元々ミステリアスでクールなイメージを持っていたんですが、実際にお会いするととても可愛らしくて。撮影を通して、そのギャップも魅力的だなと感じました。私も橋本さんも、ちゃんみなさんがプロデュースするHANAが大好きなんです。撮影のセッティングチェンジの合間やロケ先の外で待機している時に、二人で振り付けを踊ったりしていました。作品の世界観とはまったく違うんですけど、そういう時間も含めてすごく楽しい現場でした。

ーー監督から演技についてアドバイスはありましたか?

本番前には武田真悟監督とたくさん話をしました。

ただ、武田監督が考えている矢口という人物は、私の想像よりもさらに先を行っていて、「自分の運命を受け入れているけれど、そのことに本人はまだ気付いていない」という、セリフのさらに奥、その先の先まで掘り下げた話をされるんです。それを自分なりに噛み砕いて芝居に落とし込む作業は、本当に難しかったです。
そもそも監督自身も「矢口という存在は説明するのが難しい」とおっしゃっていて、私たちの会話も自然と抽象的なものになっていきました。掴みどころがなくて、言語化しきれない役だからこそ、お互いに手探りでイメージを共有しながら作り上げていった感覚があります。でも面白かったのは、監督も私も「怖く見せたい」「気持ち悪く見せたい」という発想ではなかったことです。ホラー作品ではあるんですけど、そういう表面的な演出ではなく、もっと本質的な部分を追いかけていた気がします。だからこそ、撮影中に大きくNGが出た記憶もあまりないですね。

ーー矢口というキャラクターの見どころを教えてください。

一番の見どころは、肝試しをきっかけに矢口が少しずつ変貌していくところだと思います。登場人物の中でも、彼女が一番大きく変化していく存在なんじゃないでしょうか。最初は普通の女性だったはずなのに、物語が進むにつれてどこか異質な雰囲気をまとっていく。その変化の過程をぜひ見ていただきたいです。
もちろん私の中には、「矢口がなぜそうなっていくのか」という一本の筋はありました。ただ、それを観た方がどう受け取るのかは人それぞれだと思うんです。彼女が何を感じ、何を考えながら変わっていったのか。ぜひそれぞれの解釈で受け取っていただけたら嬉しいですし、その反応を聞けるのも今から楽しみにしています。

ーー完成した作品をご覧になった感想を教えてください。

もちろんホラー作品なので怖さはあるんですけど、それ以上に私は“気持ち悪さ”を強く感じました。何かに見られているような感覚だったり、常にすぐ近くに得体の知れない存在があるような感覚だったり。逃げたいのに逃げられない、日常の中に少しずつ異物が入り込んでくるような不気味さがあって、それがこの作品ならではの魅力なんじゃないかなと思います。
きっと観る方によっては難解に感じる部分もあるかもしれませんが、その分、一度観ただけでは気付かなかった発見が何度も出てくる作品だと思います。
ジャンルとしてはホラー映画なんですけど、単純にホラーという言葉だけでは片付けられない作品でもあるんですよね。哲学的な要素もありますし、日本のホラーらしい“神様”や“信仰の存在”についても考えさせられる部分がある。一言でホラー映画と括ってしまうのはもったいないくらい、いろいろな魅力が詰まった作品になっていると思います。

ーー物語の終盤、矢口は再び落ち着いた姿で現れます。あの状態は“元に戻った”と捉えていいのでしょうか?
難しいですよね。ここは映画を観る人によってさまざまな解釈ができると思います。私は元に戻っているように見えて、侵食しきってしまった状態だと捉えています。矢口としての思考を超えて”祝山”に導かれている、きっと自分がどうすべきかが分かっていて、その運命を受け入れてしまっている。だからあのラストに繋がるのだと思います。個人的には、誰から見てもおかしくなってしまった途中の矢口よりも最後の矢口のほうが不気味で怖いです。

ーー公式コメントで「どうか無事に楽しんでいただけたら幸いです」と書かれていましたが、とても印象的でした。

完成した作品を観た時に、私は“まとわりつくような気持ち悪さ”を強く感じたんです。ただ怖いだけではなくて、観終わったあとも残り続けるような不快感というか、ぞわぞわする感覚があって。その感覚が映画を通して観る人にも“感染”していくんじゃないかなと思ったんです。実際、物語の中でも矢口が鹿角先生を巻き込み、さらにその先へと連鎖していく。まるで感染するように広がっていく怖さが描かれています。私自身も演じている間、矢口という存在に導かれていた感覚があったんです。今振り返ってみても、「同じシーンをもう一度演じてください」と言われたら、たぶんできないと思います。それくらい不思議な感覚の中で向き合った役でした。

ーー女優としての現在の手応えについて教えてください。

正直なところ、作品が完成するたびに反省点ばかり見つけてしまうので、「手応えがあります」と言い切るのは難しいですね。ドラマでも映画でも舞台でも、「もっと違う表現ができたんじゃないか?」と考えてしまいます。ただ、『祝山』に関しては、これまでの私のパブリックイメージだけでは出会えなかった作品だったと思いますし、矢口という役もこれまでの延長線上にはなかった存在だったと思います。今年は本当にさまざまな作品に参加させていただいていて、ひとつのイメージに固定されない役柄に挑戦できています。
20代後半に入ってから積み重ねてきたことが、少しずつ良い形で繋がってきているのかなと感じる瞬間はあります。それを手応えと呼べるかは分からないですけど、自分が歩いてきた道が間違っていなかったのかもしれない、とは思えるようになりました。

ーーありがとうございました。

 

▼あらすじ
一度足を踏み入れれば、もう戻れない——。
禁忌に触れた瞬間、逃れられない運命が動き出す。

その手紙は、すべての始まりだった。
スランプに陥っているホラー小説家・鹿角南のもとに、中学時代の同級生・矢口朝子から一通の手紙が届く。そこには、ネットで心霊スポットと噂される廃墟へ肝試しに行ってから説明のつかない異変が起き続けているという、不穏な告白が記されていた。ネタを拾えればと考えた鹿角は、話を聞くため矢口と再会し、当時行動を共にしていた若尾木綿子、小野寺淳、田崎正人らと顔を合わせる。

しかし、その出会いを境に、鹿角の周囲でも得体の知れない影が忍び寄る。日常はわずかに歪み、やがて一人は突然の死を迎え、他の者も狂気へと駆り立てられてゆく――。不可解な出来事は連鎖し、逃れる術のない恐怖へと姿を変えていく。

真相を探るため、鹿角は懇意にしている山岳ライター・吉村司に協力を仰ぐ。調査の末に浮かび上がったのは、彼らが軽い気持ちで足を踏み入れた山——『祝山』に潜む、あまりにも深すぎる禁忌の存在だった。そこは本来、人が触れてはならない領域。知らぬ間に境界を越えてしまった彼らは、すでに“あちら側”へ引き込まれていたのだ。

やがて鹿角は、矢口たちとともに祟りの根源へ向かう決断をする。
足を踏み入れた者は、もう戻れない——祝山が、その代償を求めている。

 

 

▼予告

 

▼キャスト・スタッフ
橋本愛
石川恋 久保田紗友 松浦祐也 草川拓弥 船ヶ山哲 鈴木志音 玲旺菜 岡本望来 / 利重剛

原作:加門七海『祝山』(光文社文庫刊)
監督・脚本・編集:武田真悟 企画・共同脚本:平井信一 主題歌:船ヶ山哲「Misery」
製作:安倍純子 田中健太 細野義朗 エグゼクティブ・プロデューサー:岡部一彦 徳田進之介
プロデューサー:麻生英輔 牛之濱誠康 アソシエイトプロデューサー:加賀絢子 佐伯浩平
撮影:川野由加里 照明:緑川雅範 録音:城野直樹 音楽:千葉広樹 美術:鈴木悠一 VFX:若松みゆき
スタイリスト:宮本茉莉 ヘアメイク:清水惇子 衣装:日下部実来 ヘアメイク・特殊メイク:MAFUYU 宣伝プロデューサー:柳原祥広
製作:「祝山」製作委員会 製作幹事:TBSグロウディア 制作プロダクション:STUDIO STROLE 配給:S・D・P
2026年/日本/カラー/Dolby5.1ch/ビスタ/97分
©2026映画「祝山」製作委員会

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→公式ハッシュタグ>#祝山

 

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☆石川恋
1993 年7月18日生まれ、栃木県出身。2013年、書籍「学年ビリのギャルが1年で偏 差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」の表紙モデルとして注目を集める。2022年 まで「CanCam」の専属モデルを務め、現在は俳優・モデルを中心に活動中。近年の主な 出演作に、「黒崎さんの一途な愛がとまらない」(2026/日本テレビ)、「ゲームチェンジ」 (2026/BS-TBS)、「コンビニ兄弟」(2026/NHK)、「憧れの作家は人間じゃありませんでした」(2026/Prime Video)、 「ディープリベンジ」(2026/YTV)映画『黄金泥棒』(萱野孝幸監督)など、話題作への出演 が続いている。

公式プロフィール https://tencarat.co.jp/ishikawaren/
X https://x.com/official_renren
Instagram https://www.instagram.com/Ren_Ishikawa/

 

ヘアメイク/濱野由梨乃
スタイリスト/金野春奈
衣装協力/THE silhouette、SYKIA、*gramii*

 

 

インタビュー マンボウ北川
撮影・文 記者J
#TrenVe

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記者J

地球上すべての美しい女神を求め東奔西走。今でいう推し活をむかーしから実践していた漢

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