2020.12.07 upload
若干15歳の少女が目指す頂は高い。サーフアスリート・松岡亜音にインタビュー!
4歳でサーフィンを始め、9歳で全日本サーフィン選手権に最年少出場、13歳でサーフィン日本一を決めるジャパンオープンに最年少出場と数々の活躍を魅せてきたサーフアスリート・松岡亜音(まつおかあのん)。そんな彼女の今までをご本人やお父様にインタビューできたのでここでご紹介したい。
ーーまずはこれまでの経緯を…
父:僕出身は東京なんですけど、23年くらい前に千葉の南房総の方に移住しまして、若い時は選手もやったりしてサーフィンが好きで海が好きで、東京生まれなんだけど海が好きで、今も海の前に住んで、この娘が生まれる前に家を建てまして、家の庭に小さい小屋を建ててショップを始めたんですよ、それが千倉海岸っていうサーフポイントの目の前なので、自然とお客さんはサーファーが多いし小さい時からサーファーの人達に可愛がられながら、自然と始めて最初は砂浜で遊んで、ボディボードをやって、4歳くらいからおんぶして一緒にサーフィンをして、ようやく5歳から一人でサーフィンをやって、僕は押してあげるんですけど、5歳6歳くらいから保護者付きの試合に出たりとか優勝とかしたりして、そこからだんだんだんだん一生懸命やって、10歳の時に、とにかく男の子がいっぱいいるんですよ競技者が、女の子がいなくて、この娘もまだ15歳ですけど、この娘が小学生の頃は全然いなくて、ライバルとか一緒にやる仲間もいなくて、常に僕と一緒とか、そういう状況があまりにも可哀そうだったので、サーフィンのメッカでもあるカリフォルニアに知り合いをつたって、一人で10歳で最初一週間くらいだったかな留学したんです。すごくいい経験をさせてもらって、そこでたまたまアメリカに渡っているロストサーフボードっていうメーカーなんですけど、ロストサーフボードジャパンっていう社長がたまたま見てくれていて、すぐに連絡があって、「サーフボードのスポンサーついているんですか?」「いやついていないです」「うちはどうですか?」「いやもちろんお願いします」ってそういう出会いがあったりとか、そこから4年くらい経ちますか、本当にいい出会いがあって、あとはお店で取り扱っているリップカールというスーツも同じくらい4年くらい前からサポートしてもらって。とにかく恵まれている環境で、海も目の前ですし、とにかく当たり前に自然にやるべきことをやりながら、片やこの娘の2、3歳上の世代はちょっと人数がいてライバルがすごくレベルが高くて、松田詩野とかワールドツアーに日本人初で入った都筑有夢路とか何人かすごいのがいるんで、世界ランクの20番台30番台に入る人も4、5人いるのかな、最近すごいんですよ、その世代の2つくらい下をずっと走ってきたから、今までずっと勝ち目を見てきていない、でもそれが負けると強くなるって話がよくあるじゃないですか、そういう時期を超えてきたんだけど、体力的にも実力的にもかなり近づいてきて、あとは経験なんですけど、やっぱ上のお姉さん達は3歳離れていれば3年経験を積んでいるからその経験値はすごく大きいんですけど、そういう先輩方がいるおかげでどういう演技をすればいいか学ばせてもらっているので、あとはスポーツトレーナー、メンタルトレーナーから声をかけてもらってサポートしてもらったりとか、恵まれている環境の中で体が出来上がってきたら、同じような波に入って同じようなコンディションの中でも見劣りしなくなってきたんですよ。
ーー子供の頃、海に入ってたことは覚えてますか?
亜音:4歳くらいからサーフィンを始めたんですけど、おむつを履いている頃からお父さんが見ている傍で砂浜で転がっていたりしたので、自分の人生の中では海は当たり前の存在みたいな感じです。サーフィンを始めて一度も溺れたことがないんですよ、お父さんがずっと怖い思いをしないようにやってくれていたので、サーフィンが怖いと思ったこともなかったし、サーフィンが好きです。
ーー純粋に水泳をしたことはある?
亜音:学校の授業とかではあって、けっこう水泳は得意な方ではあります。
ーー速く泳ぐのも得意?
亜音:はい。
ーーいい波がくるかどうかみたいな、サーフィンは運不運もある?
亜音:海は自然下で人工物ではないから、試合は大体15分から20分程度なんですけど、その日の海のコンディションに合った人が勝ち進んでいくっていう感じなので、自分が海に合わせないといけないんですよ。上手くいかなくて乗れなくて負けることもあるんですけど、海に自分を合わせていって勝っていったらそれはそれでいいですね。やっぱり難しいですけど。
ーーあまりいい波がこないと細かいテクニックでポイントを稼ぐのかな?
亜音:波が小さいと波のサイズに合わせたターンの大きさだったり、それで細かいように見えちゃったりするかもしれないんですけど、やっぱり波が大きければ大きいほど大きなターンで出来るので、そこの違いはあると思います。その日のコンディションで基準があって、その基準に合わせていい波を掴んでターン出来たら点数が高いし、悪かったら点数が低い、みたいな感じです。
ーーご自分で得意、不得意なコンディションは?
亜音:サーファーならみんな同じかもしれないんですけど、風とか雨が降っている降っていないで気分も変わったりするので、あとは場所、その時の地形ですかね、砂の割れ方で波の割れ方が決まるんですよ、割れ方がどれも一定で、三角形に砂のバンクがあるとすごくいい割れ方なんですけど、波がとても速かったり砂が溜まっていなくて海の底が深くて波が厚くなっちゃったりするとあんまりよくないんですけど、いいか悪いか砂のバンクで決まりますね。
ーー日によって決まるもの?地形で決まっているもの?
亜音:決まっている所もあります、台風とかで海が荒れた後は砂が溜まっていたりするんですけど、砂が溜まる場所が浅いから波が割れるんですね、砂の形によって割れるんですけど、それでいいか悪いか決まるっていうか。
ーー場所取りとかする?
亜音:いいバンクの方に皆行くので、試合中に波を取り合ったりするんですけど、戦略というか取り方が色々あって、その中でもいい波を掴んだ人が勝ち進んでいくっていう感じです。
ーー試合前に戦略を考えるもの?
亜音:試合の一週間前からずっと練習していて、その場所のバンクを見つけたりどこがいいのかっていうのを皆探ったりするんですけど、試合の前とかは1、2時間くらい海の状況をずっと見て、前のヒートの選手はどこで乗っているのかを見て、自分がどこで乗ってどこでいい点数が出せるのかを海に入る前に考えておいて、入っても急にコンディションが変わることもあるんですよ、自分はここって決めるよりはコンディションに自分を合わせていって自然の流れに逆らわないで行くっていうのが一番大切です。
ーー今までやってきて特に印象に残っている試合、場所は?
亜音:アメリカのハワイで去年の7月くらいに行って、そこは下が岩で一定の場所で割れるんですね、そこで試合を行って結果は7位で負けちゃったんですけど、日本よりは全然いい波で出来て、ハワイはこんな波で試合が出来るんだなってすごく感動したし、印象に残っています。
ーー日本とは全然違う?
亜音:波質とかパワーとか全然違うし、いい波でした。日本は割とビーチのポイントが多いんですけど、外国は下が岩で一定の波なので、外国の方がいい波が立つのかなって思います。
ーー岩とか波が高いとか、危なそうに聞こえる・・・
父:10歳の時に夏休みの一ヵ月くらい行かせて、その翌年も翌年も行かせていて、いつも試合のエントリーをして行くんですよ、中学校一年生の時に南カリフォルニアのWSAっていうサーキットがあって、地元の子供たちが参加するサーキットなんですけど、そこのアンダー14ガールに出て優勝したんですよ。そこからもっと大きなサーキットに移っていくんですけど、大きな方にはまだ参加出来ていないんですけど、カリフォルニアに行ったらこの娘はけっこう知っている子も多いんじゃないかな。
ーーハワイで7位になった時はレベルの高い子もいた?
亜音:地元の女の子がたくさん出ている試合で、ハワイの16歳以下の女の子たちで、日本の女の人たちよりはみんな上手いし刺激がすごくたくさんありましたね。
ーー日本人は他にいなかった?
亜音:向こうに住んでいる日系の子供はいるんですけど、日本から来る人達はいませんでした。
父:人と違うことをやったら将来役に立つのかなっていう考えでずっとやってきていますね。
ーー今この状況で、オリンピックに対する思い
亜音:サーフィンっていう種目は今までオリンピック競技じゃなくて、オリンピック競技になって注目されてすごく嬉しいし、オリンピックって初めての事なので最初はどう捉えていいかわからなかったんですけど、自分もオリンピックに出たいなと思って、オリンピックを目標にして頑張っています。
ーー今年は試合はなかった?
亜音:今年はなかったです。1月に小さい大会があったんですけど、それ以来やっていないですね。
ーー試合がない中でのトレーニングは?
亜音:学校が休みだったので、休校中は自分の家の目の前の海で徹底的にサーフィンの練習をしていて、人は全然少なかったからすごくサーフィンが出来たし、例年だと学校に行って毎月毎月試合だったので自分のやりたい新しい技に取り組めなかったんですけど、今年は無かったから、取り組む事が出来て今も練習中です。
ーーどんな技に取り組んでいるの?
亜音:この頃海外の女子とかもやり始めているんですけど、エアリバースって言って、男の人とかはバンバン出せるんですけど、女の人はあんまり出していなくて、女性にとっては新しい技ですかね、
父:日本の女子ではスケーター上がりのプロサーファーが試合でもトライしているんですけど、まだメイクしていないんですよね、成功するレベルまで女子はまだ来ていないんですよ。
ーーもしサーフィンをしなかったらどんな女のコになっていた?
亜音:普通に地元の中学校に行って、友達が好きだから友達とめっちゃ遊んでいたんじゃないかなと思います。今は年に数回しか遊べないんですけど。普通に部活入って、まあ後は走ることも結構好きなので、部活中心になるのかなと思います。
ーー部活は何部?
亜音:陸上部とかがあったら陸上部がいいけど、自分の中学校には陸上部が無いので、お父さんが昔テニス部だったから、テニスもやってみたいなと思います。
ーー芸能界には興味はない?
亜音:うーーーん、なくはない(笑)。
父:中条あやみちゃんがすっごく好きで会いたいらしいんですよ。
ーーなぜ好きですか?
亜音:可愛いからですかね(笑)。
ーーきっかけは?
亜音:昔広瀬すずちゃんと出ていたチアダンっていう映画で、すごくかわいいなと思って。結構好きですね。
ーー将来的な目標は?
亜音:目標としては、WCTっていう世界最高ツアーに加入して優勝することが目標なですけど、その為にはジャパンオープンだったり来年のたくさんある試合で成績を積んでいかないとWCTっていう最高峰の所には入れないんですけど、そこに入ることを目標として頑張っています。
ーーありがとうございました。
松岡亜音
公式サイト https://www.anonmatsuoka.com/
Instagram https://www.instagram.com/anon_matsuoka/
取材 マンボウ北川
撮影・編集 記者J