2025.07.08 upload
円井わんが語る“リアルと虚構の境界線”――映画『逆火』で見せた覚悟とまなざし
映画『逆火』は、俳優たちの「映画を作ろうぜ」から始まった熱意の連鎖から誕生した作品。主演の円井わんは、本作でヒロイン・小原有紗役を演じ、ヤングケアラーとして過去と向き合う複雑な人物を体現している。内田英治監督との信頼関係、役への想い、現場でのやりとり――そのすべてが、“今この瞬間”のリアルとして焼きつくように語られた。
――この映画には、どのような経緯で出演することになったのでしょうか。
コロナ禍に、役者仲間で「映画を作ろう」という流れが生まれて、そこに内田監督やプロデューサーの藤井さんも巻き込まれていきました。私も自然とその輪に入り、いつの間にかこの役をいただいていたという感覚です。監督が、私にあてて書いてくれたような役でした。
――脚本は、内田さんの原案なんですね。
物語の骨組みは内田さんによるものです。
――でも実際は、出演者たちの想いがきっかけだった?
映画をやりたいという思いを、役者と内田さんで共有していたところから始まりました。
――デビュー作も内田さんの作品だったそうですね。
『獣道』に少し出演させてもらって、それ以降も年に一度くらいのペースで呼んでいただいています。
――ヒロイン役と聞いていたけど、意外と出番が少なかった?
物語の中心にありつつ、実際の撮影量は少なめでした。
――撮影は何日ほどだったんですか?
私自身はもう少しありましたが、全体の撮影期間は2週間くらい。私は都内と横須賀での撮影が中心でした。
――『逆火』というタイトルの由来は?
(藤井宏二さん)実は内田監督が考えたんです。初期は他にも候補があり、仮タイトルは『ラストラブレター』でした。『逆火』は、火が逆流して燃料側に火が移ってしまう現象を意味します。小さな火種が全体を巻き込んで燃やしてしまうような、そんなイメージです。
――今回の役では制服姿もありましたが、どうでしたか?
2023年の撮影当時はまだ大丈夫でした。中学生時代の回想、高校時代、本作での現在…と、時間の流れが描かれているので制服も必要なシーンでしたね。
――役柄について、少し説明いただけますか?
貧困家庭でヤングケアラーとして育った長女・ARISA。そんな彼女の自伝的小説が映画化された…という設定です。ただ、彼女自身にある疑惑が浮かび上がっていくという仕掛けもあります。
――かなりセンシティブな題材ですよね。
実際にある家庭のように感じながら演じました。フェイクではあるけれど、現実にこういう家庭があると。誰もが丁寧に、慎重に役に向き合っていた印象です。
――ご自身の役の見どころは?
ARISA、かっこいいですよ。強さと脆さの両面を持った役だと思います。
――映画全体の見どころは?
“真実に向き合うことをやめてしまった大人たちに、道徳心を問いかける”。この一文に尽きます。あとは、北村有起哉さんの演技も最高でしたし、内田監督らしさが詰まった懐かしい空気感も注目です。
――北村さんとは現場でお話されましたか?
結構お話しました。内容は覚えていないんですけど、お子さんの話で爆笑してました。現場はすごくピースな雰囲気で、和やかでした。
――寒い時期の撮影だったとか。
はい。風が強くて、まばたきが増えて大変でした。でも不思議と寒さはあまり気にならなかったです。
――今後の展望については?
「面白そう」と思ったらやってみたいです。以前は海外作品に出たい気持ちが強かったんですが、今は日本にフォーカスしています。
――タバコを吸って声を低くしているという話もありましたよね?
今は電子タバコに変えました。たんも減ったし、部屋の匂いも気にならなくなっていい感じです。
――次は朝ドラにも出演?
はい。『ばけばけ』に出演予定です。エストニアの映画祭で観た作品の監督が、たまたま朝ドラの監督で、偶然が重なってオーディションを受けました。ヒロインは逃したんですけど、親友役として出演することになりました。
――最後に、今後の“野望”があれば教えてください。
特に大きな野望はないですけど、「平和に生きる」。最近はそれが一番の願いかもしれません。
ーーありがとうございました。
▼あらすじ
映画監督を夢見る助監督の野島の次の仕事は、貧困のヤングケアラーでありながらも成功したARISAの自伝小説の映画化であった。ところが、周辺で話を聞くうちに彼女に “ある疑惑”が浮かび上がる。この女は、悲劇のヒロインか、それとも犯罪者なのかー?名声を気にする監督、大ごとにしたくないプロデューサーといった撮影を中断したくない面々が、真実を追求する野島に圧力をかけてくる。やがて疑惑の火は、家族をも巻き込み野島の日常は崩れ始める…。
▼予告
<CAST> 北村有起哉 円井わん
岩崎う⼤(かもめんたる) ⼤⼭真絵⼦ 中⼼愛 /
⽚岡礼⼦ 岡⾕瞳 辻凪⼦ ⼩松遼太 ⾦野美穂 島⽥桃依
<STAFF> 原案・監督︓内⽥英治 脚本︓まなべゆきこ ⾳楽︓⼩林洋平
プロデューサー︓藤井宏⼆ 関⼝海⾳ キャスティング︓伊藤尚哉 撮影︓野⼝健司
照明︓後閑健太 録⾳︓⾼⽥伸也
助監督︓佐藤 吏 スタイリスト︓川本誠⼦ ヘア&メイク︓板垣実和 藤⽥さくら
制作担当︓梶本達希 編集︓⼩美野昌史
VFX︓若松みゆき ⾳響効果︓堀内みゆき 宣伝プロデューサー︓⼤﨑かれん
製作︓映画『逆⽕』製作委員会
(Libertas/Yʼs Entertainment Factory/DASH/move)
制作プロダクション︓Libertas 配給︓KADOKAWA
©2025「逆⽕」製作委員会
2025年/⽇本/108分/カラー/シネスコ/5.1ch/PG12
公式HP:https://movies.kadokawa.co.jp/gyakka/
公式X:https://x.com/gyakka0711
7月11日(金)テアトル新宿ほか全国順次公開!!
▼公開記念イベント開催
7月11日(金)
【場所】 テアトル新宿
【時間】 18:00の回(上映終了後舞台挨拶)/20:45の回(上映前舞台挨拶)
【登壇】 北村有起哉、円井わん、岩崎う大(かもめんたる)、内田英治(監督) <以上予定>
7月12日(土)
【場所】 テアトル新宿
【時間】 11:30の回(上映終了後登壇)
【登壇】 円井わん、内田英治(監督) <以上予定>
★上映終了後に劇場ロビーで内田英治監督によるパンフレットサイン会を行います。
※全公演、登壇者は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください。
※サイン会については本告知内注意事項をご確認ください。
☆円井わん
1998年1月3日生まれ、大阪府出身。2016年から俳優活動をスタートし、20年に初主演をした映画『コントラKONTORA』がタリン・ブラックナイト映画祭でグランプリを受賞。映画主演作に、『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(22)、『光はどこにある』(22)がある。近年の主な映画出演作に、『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(23)、『サイレントラブ』(24)、『バジーノイズ』(24)、『マッチング』(24)、『君の忘れ方』(25)、『知らないカノジョ』(25)などがある。
公式プロフィール https://squad-management.com/talents/wan-marui
X https://x.com/wanmarui
Instagram https://www.instagram.com/wanmarui/
TikTok https://www.tiktok.com/@wanmarui
インタビュー マンボウ北川
撮影・文 記者J
