2026.03.04 upload

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生越千晴、9年越し公開作で運命を揺らすキーパーソンに… 選択が生む人生の分岐点

クーデター後のミャンマーで取材中に拘束・収容された、日本育ちのミャンマー人映像作家ティンダン監督。混乱の時代をくぐり抜け、長い歳月を経て、2017年に撮影された本作が9年の空白を越えて初の本格公開を迎える。主演を務める生越千晴が演じるのは、何気ない朝の“駆け込み乗車”をきっかけに、見知らぬ誰かの人生を連鎖的に揺らしていく女性・めぐみ。偶然は運命なのか、それとも選択の積み重ねなのか――。妹の死という後悔を抱えながら「生きること」を模索する主人公の姿を通して、私たちの日常に潜む分岐点を静かに問いかける一作だ。

――ミャンマーから戻られた監督とはお会いになりましたか?

まだお会いできていません。今回の公開にあたって何度かお電話はしています。先ほども久しぶりにお電話して、「9年前ってどうでしたっけ?」と、当時のことを振り返っていました(笑)。

――今回は初めての公開ですか?

1日限りの上映会は一度ありました。
撮影は2017年で、マネージャーさんとのメールを遡って確認しました。ついこの間のことのようで、もう9年も経っていることに驚きました。

――この役はどのように決まったのですか?

動画審査と監督面談がありました。

――所属は劇団モダンスイマーズですね。

はい。
2015年頃から所属しています。私自身舞台には定期的に立っていますが、劇団公演は2年に1回ほどになってきてますね(笑)。今は少し間が空いていますが、みんなそれぞれに活動しています。

――撮影時の印象的なエピソードは?

電車のシーンですね。無理やり乗ろうとして、鞄がドアに挟まる場面です。

単純に挟むタイミングと、それを勢いよく抜くタイミングが本当に難しくて(笑)。限られた電車の貸し切り時間の中で、監督に色々指導してもらった記憶があります。うまくやらなければいけない、という焦りも強く憶えています。

――鞄が挟まったことが、あの出来事につながるのですか?

鞄が挟まったことで電車が遅延し、めぐるの父親にも影響が及びます。「なぜ今止まるんだ」と焦る気持ちは、日常にもあることですよね。

もし電車が遅れなければ、母親の死に目に間に合っていたかもしれない。間に合っていれば、その後の父とめぐるの関係や、めぐるの言動も変わっていたかもしれない。けれど、何がどう作用したのかは断定できません。その巡り合わせの曖昧さこそが、まさに人生だなと感じます。

――役の見どころ、作品の見どころは?

めぐみは「生きること」を模索している途中の人物です。何が大切なのか、生きるとは何なのかを考えながら歩んでいく。その姿こそが見どころだと思います。

作品全体としては、私たちの身の回りにどこにでもいるであろう人々が登場します。誰もが少なからず自分を重ね、考えさせられる力を持った作品だと思います。

――ご自身も、日常の選択について考えますか?

考えます。旅行もあまり計画せず、行き当たりばったりで感覚に任せるタイプですが、だからこそ「こちらに行けば何に出会えるのか」と常に思います。迷いながらも自分の感覚で選択し、その先の出会いを楽しむ。どこでどんな出会いがあるか分からないその不思議さは、人生そのものに通じるものがあると感じています。この映画も偶然の出会いが連鎖し、運命が絡み合っていく。その曖昧さがこの物語の核だとも感じます。

――劇中、妹のいじめと死について、あまり描かれていないですね?

そうですね。めぐみはその事実を知りませんでした。というか、自分のことでいっぱいいっぱいで大切な人の変化に気づこうともしてなかったからこそ、後悔が残っているのだと思います。悔やんでも悔やみきれないとんでもなく大きな後悔を背負って、悩み苦しみやっとめぐみ自身の生きる選択をしていきます。

――監督とのエピソードは?

久しぶりに電話して改めて思いましたが、本当に温かく穏やかで優しい方です。脚本や役について丁寧に話し合いながら、ストレスなく撮影できた記憶があります。

――最近ハマっていることはありますか?

最近保護猫を迎えたんです。だから猫との日々ですかね。猫がこんなに可愛く愛おしい存在だなんて、誰も教えてくれませんでした(笑)。気ままに生きているように見えて、でもそこに確かな存在感がある。あまりに命がそこにいるんですよね。人間はどうしても考えすぎてしまうけれど、猫のように生きられたらと学ぶことも多いし、命についても考えさせられる日々です。

それから、手帳と文具。最近新たにDavinciのシステム手帳を買いました。日々ジャーナリングのように感情を書き留めたり、行ったお店のレシートを貼ったりとにかく色々なことを記録しています。私自身過去の思い出も、自分の体調のこともいつ何があったかすぐ忘れてしまうタイプなのでもう記録は必須ですね。手帳は私の人生です。

――今後の目標は?

俳優としてもっと多くの人に知ってもらうことです。そして日々、一生懸命に生きることです。誠実に、背伸びせずに素直に。自分らしくあることはすごく難しいし、嫌な自分だって現れる。でも、そんな自分も認めつつ、一歩一歩前を向いて歩く努力をすることです。

 

▼あらすじ
大切な入社試験の面接の日の朝も、めぐみ(生越千晴)はいつもの悪夢にうなされていた。その夢とは、放課後の教室で行われる妹・奈緒(姫愛奈ラレイナ)への集団いじめと、奈緒が駅のホームへ向かう光景。

寝坊しためぐみは駅へと走り、途中でスーツを着た男(泊帝)にぶつかりながらも、発車間際の電車に駆け込む。この駆け込み乗車による僅かな電車遅延が、その後さまざまな人々の運命を狂わせることになる。

母親の危篤の知らせを聞き、病院に急ぐ中年の男・圭一(小野孝弘)と、自堕落な大学浪人生活を送るその息子・めぐる(小出水賢一郎)、謎の女子高校生・ユキ(小野花梨)、そして不運なスーツの男。めぐみの行動は、自分とは全く関係ない誰かの人生をめぐりめぐっていく…

▼予告

 

▼キャスト・スタッフ
出演:生越千晴、小野花梨、小出水賢一郎、小野孝弘、泊帝、ししくら暁子、姫愛奈ラレイナ

スタッフ:撮影監督 山本周平 照明 鳥内宏二 編集 辻田恵美
助監督 稲垣壮洋 宣伝美術 曽根大樹 メイク 鈴木真帆 プロデューサー 江南知幸

監督:ティンダン 脚本:山﨑佐保子
制作/配給:合同会社CHAMP ASIA 配給協力:NEGA
2020/日本語/ステレオ/アメリカンビスタ/30min

©合同会社CHAMP ASIA

 

▼公開情報
2026年3月6日 金曜日 アップリンク吉祥寺、テアトル梅田、アップリンク京都ほかにて全国順次公開

▼イベント情報
3/6(金)アップリンク吉祥寺にて、初日舞台挨拶に登壇!
20:30~の回上映前舞台挨拶
登壇者(予定):生越千晴、小出水賢一郎、小野孝弘、泊帝、ししくら暁子(以上、『めぐる』出演)、ティンダン監督

▼URL
公式サイト https://meguruein.com/
X https://x.com/meguruein
Facebook https://www.facebook.com/meguruein

 

☆生越千晴
オフィシャルサイト https://chiharuogoshi.com/
X https://x.com/chiharu_ogoshi
Instagram https://www.instagram.com/chiharu_ogoshi/

 

 

インタビュー マンボウ北川
撮影・文 記者J

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記者J

地球上すべての美しい女神を求め東奔西走。今でいう推し活をむかーしから実践していた漢

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