2021.03.04 upload

3.11の想いを繋ぐ映画『漂流ポスト』で初主演の雪中梨世が魅せた演技に感動!

Actress

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東日本大震災、3.11から10年が経とうとしている今も、復興に努めている人々や想いがある。映画『漂流ポスト』ではキモチの復興を支える“漂流ポスト”が題材になっており、被災者のみならず、心にぽっかり穴の開いた人々を支えている様子が描かれている。この映画で主人公を演じ、映画初主演となる雪中梨世にインタビューができたのでご紹介する。

ーーどういう風に出演が決まったか教えて下さい
前に私が通っていたワークショップに監督が講師としていらっして下さっていて、短編映画のキャスティングをするということで、セリフを読んだり、視線カメラを使って撮ってみるとかっていう、オーディションのようにやって決まりました。

ーー出演が決まった時のお気持ちは?
嬉しかった(笑)。純粋に嬉しかったっていうのもあったんですけど、“漂流ポスト3.11”っていうテーマの責任の重さにちょっと不安は感じましたね。私自身、震災当時はまだ福岡にいたので震災を体験していないんです。震災を経験していない人間でも表現できるのかなって感じました。

ーー撮影の時の印象はどうでしたか?
それは、ちょっと面白さがあった方がいいですか? 色々あるんですけど(笑)。真面目なのもあります!

ーーでは両方ともお願いします!
面白かったのは、気仙沼の方で撮影をして、大船渡温泉の宿にとまったんですけど、監督がなんでこの宿にしたかっていうと、ご飯が一番おいしそうだったからっていうので決めたらしいんです。夕食を撮影チーム含めて5、6人くらいだったかな、みんなで食べたんですけど、途中からマグロの頭とかを丸ごと煮たものがどーんって出てきて、「もうおなかもいっぱいなんだけど今からこれを食べるの?」「明日も撮影があるし」っていう雰囲気が流れて…。でも、監督はおいしいおいしいってめちゃくちゃ食べていたのがちょっと面白かったです。

真面目な方は、私が海に入って叫ぶシーンの撮影の日、すごく天気が悪く曇りで、ちょっと雨が降りそうっていうときだったんですけど、普通だったら雨が降る前に撮っておこうってなるんですが、途中から、「これは雨が降った方がいい」って監督もカメラマンさんも言いだして、まさかの雨待ちをするっていうことがありました。本当に雨が降るのかなあって、けっこう待ったんですよ、30分以上待機していたかな、「絶対雨が降る」って言って。そうしたら本当に降ってきたから、「よし今だ、撮るぞー!」って言って、みんなでどーんって駆けていって撮りました。というお話です。

ーーまるで入水自殺のように見えました。かなり奥まで入っていましたね?
そうですね、胸のあたりまで入っていました。確かにそういう風に見えちゃいましたね。そういう気持ちでもあったと思うんですけど…

ーーそういう気持ちもあった?
海に対しての怒りとか悔しさもあったし、たぶん自分の命を捨てちゃいたいって思っているのもあると思います。それくらい自分の中でも「どうしたらいいんだよ」っていう怒りみたいなのもあったので。

ーーポストのあるところに行ったときはどうでしたか
あのポストがあるのが森の中なんです。森の中にぽつんとあって、細い道に入って探すシーンが冒頭にあるんですけど、本当にそうやって探さないとみつからないんです。本当にこの先にあるの? って不安になるくらい森なんですね。それでずーっと歩いていったら赤いポストがぽつんとあるんです。その時になぜか安心感があるというか、“待っていてくれた”っていうとちょっと違うけど、やっとここまで来れたなっていう安心感を感じました。不思議な存在感を感じますね。

ーー実際にあのポストに行って投函しないといけないわけではない?
実際にこのポストは郵便局の人は郵便物を受け取りには来ないんですけど、入れることはできます。お手紙を“成仏”っていう形で燃やすっていう方法もあるし、こことは別に小屋が立っていて中で、同じような思いを抱えた方が自由にみられるようにもできます。

ーー劇場公開は初めて?
一回映画祭で劇場で一日だけ上映されたんですけど、今回のようにちゃんと劇場公開っていうのは初めてです。

ーー公開が決まってどうですか?
びっくりしました! もともと監督が映画祭に出すつもりで作るって言っていたので、実際に海外の映画祭に渡っていっているから嬉しいなぁと思っていたんですけど、まさかの劇場で、しかも短編独立で上映して頂けるってなって…。それだけ東日本大震災っていう出来事が大きいことだったのかっていうのを感じますし、求められているんだなっていうのを感じました。

ーー映画の見所は?
この映画は本編で“使う”って知らされていないで実際に漂流ポストに届いた手紙を読んでいる所が使われていて、手紙を書くシーンとかも実際に私が手紙を書いているドキュメンタリーの部分です。私もこの作品に入る前に家族を亡くしていて、主人公の池淵園美と重なる部分が多くて、それもあってか、ドキュメンタリーのシーンは自分の気持ちそのまんまで撮ってもらっているので、そこの部分はぜひ見て欲しいなと思います。実際に大切な人を亡くしてもやもやしている、わだかまりを抱いている方に特に届いて欲しいと思います。

ーー東日本大震災に限らずですか?
そうです。3.11というのが大きなテーマだと思うんですけどそれだけじゃなくて、大切な人を亡くした方に通ずるものがあるのかなと思うので色んな方に見て頂きたいですね。

ーー今後の予定
今後は映像をメインに映画とかドラマとか広告、CMとかもやっていく予定です。現時点で特にこれっていうものは決まっていないんですけど。

ーー中学生時代の2人の演者さんとの雰囲気や、意識したことは?
この2人がまっすぐにきらきらに演じていらっしゃったので、私もその思い出をずっと頭の隅に意識してお芝居をしようと思いました。思い出がいつもここにあるっていうように、忘れないように意識していました。

ーー言い残したことはありませんか?
ハンカチを持って見に来て下さい。本当にハンカチ必須だなって思いますし、この映画のチラシとか予告編とかを見て少しでも自分の大切な人がぽんっと思い浮かぶ方にはぜひ観てもらいたいなって思っています。

ーーありがとうございました。

 

あらすじ
東日本大震災で親友の恭子を亡くした園美は、心のどこかで死を受け入れられず日々を過ごしていた。
ある日、学生時代に恭子と埋めたタイムカプセルが見つかる。
中には『将来のお互い』に宛てた手紙が入っていた…。蘇る美しい思い出と罪悪感。
過去と向き合う中、震災で亡くなった大切な人へ届けたい言葉・伝えることができなかった想いを綴った手紙が届く【漂流ポスト】の存在を知った園美は、心の復興を遂げることができるのか…

 

映画『漂流ポスト』 3月5日より アップリンク渋谷 他全国順次公開中

雪中梨世 神岡実希 中尾百合音
藤公太 永倉大輔

監督・脚本・編集・プロデュース:清水健斗
撮影監督:辻健司  録音:田原勲
メイク:大上あづさ  制服:下山さつき  音楽:伊藤明日香
撮影協力:赤川勇治漂流ポスト3.11 配給:アルミード

Kento Shimizu 2018/日本/カラー/30分/シネスコ/ステレオ
公式サイト:https://www.hyouryupost-driftingpost.com/
公式ツイッター:hyouryupost
公式Facebook:hyouryupost.film

 

 

雪中梨世
1994年10月7日生まれ。福岡県出身。
2013年、舞台「桜の森の満開の下」(原作:坂口安吾)にてヒロインに抜擢されデビュー。その後、少年社中「ネバーランド」や柿喰う客フェスティバル「サバンナの掟」など舞台を中心に活動。テレビドラマでは「家政夫のミタゾノ」や「越路吹雪物語」など話題作にも出演。本作品にて映画初主演を務める。

 

 

取材 マンボウ北川
撮影・編集 記者J

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