2022.07.07 upload

冴える演技力で恋に悩む娘を快演!石井杏奈出演『破戒』公開間近!!

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女優としての評価が高く人気急上昇中の石井杏奈が出演する映画『破戒』が8日公開される。島崎藤村の不朽の名作『破戒』を60年ぶりに映画化した本作。間宮祥太朗演じる主人公・丑松は被差別部落出身ということを隠し生活しているが、心揺さぶれる出会いや石井杏奈演じる志保への恋心など複雑に絡み合った心情が描かれている。そんな本作で石井杏奈はどんな心境で演技をしたのか? 彼女にインタビューができたのでご紹介する。

ーー今回はオファーが来たんですか?
そうです。

ーー時代劇ですがそれはきいていた?
聞いてはいなかったのですが、時代劇は映画で一度やったことがあるぐらいで数少なく、まず知識がなかったので、色々な人にたくさん質問をして、知識をつけて教えて頂いて演じていました。

ーー台本を読まれた感想をお願いします。
とてもメッセージ性の強い作品だということを感じました。明治の話ですが現代に通ずるものがたくさんあるなと思い、心に響きました。台本を読んだ段階から志保に対して共感できることがたくさんあったので、自分がやるからには自分らしく志保を表現したいなと思い、その共感できたポイントを、大きく表現したいと思いながら演じていました。

ーー特に共感できたのは?
好きになってはいけないなど、そういう好きな気持ちに嘘偽りなく正直に進んでいく姿はとても共感できましたし、義理のお父さんたちに嫌なことされても、隠して強く生きなければいけないという部分もとても共感できました。

ーー今回撮影に入るにあたって事前に準備したほうがいいかなぁと思ったことは?
準備したことでいえば、監督と志保の女性像を色々と出していき、こういう風に演じていこうということや、自分はこうして演じていきたいということを擦り合わせました。また、自分の中での志保のキャラクターから、とてもか細くあまり主張しないような声で演じたいと思ったので、そこを意識しました。

ーー明治と今、どんなところが今でも通じるなと思いましたか?
身分の違いから隠していかなければいけない。我慢をして生きなければいけない時代と、今はSNSが主流になっていて、偽った自分が評価されてしまう時代という点で、差別などは現代にはないですが、隠れた場所で陰湿なことがたくさんあり、勝手に傷ついてしまったり、人を傷つけてしまうことがSNSを通して増えているなと思っていたので、そういう意味ではありのままに生きるべきという点は通じることなのかなと思いました。

ーー劇中で丑松(間宮祥太朗)に最初に会った時の桜の花見、あれは設定としては一目惚れに近い感じ?
同じ感覚を持っているといいますか、似たもの同士。わかるじゃないですか。フィーリングで「あ、この人自分と同じようになにか抱えてるな」など、そういう点が意思疎通したのだと思います。あのシーンも基本それほどセリフもなく、二人ともふし目がちで接している中で見つめ合って恋に落ちるという設定なので、とてもロマンチックなシーンだなと思います。

ーー視線が合わないのは凄い特徴というか印象的だなと思ったんですけど、やっぱ基本的には控えめな子に見えました。
そうです。志保は仕事として働いていて、そんなにお客さんに対して溌剌とするわけでもなくという役柄だなと思っていたので、伏し目がちでやっていこうということを監督と相談して決めて、そこから目を上げて、見つめ合った瞬間に恋に落ちるという話も聞いていたので、どういう演出になるのだろうと思っていたら、あのような演出で「素敵すぎる!」と思いときめきました。

ーー伝統的な所作とかそういったところで苦労されましたか?
苦労といいますか、分からなければ聞くということをずっと意識していたので、基本現場に少し早く入り、例えばお茶を出すシーンはどうしたらいいですか? などと全部聞いて教えてもらいながらしていました。なので、苦労という点でいうと、ずっと正座をしていることや、正座から立つ時はとても足の力が要るのですが、つま先立ちでぐっと立たなければならず、しかし表に出さず、静かに立つということがとても難しく、体力面では苦労しました。

ーー今回東映京都撮影所ですよね。京都撮影所ってすごく厳しいとか変わってるって聞くんですけど、実際にどうでした?
とても優しかったです。私も色々な人に脅されて行ったんですよ。「本当に怖いからちゃんとしとけよ」、「しきたりとか礼儀とかちゃんとしなよ」などと言われていたので、もうどんな現場なんだろうと、とてもドキドキしていて、自分は時代劇に全然出たことがない身だったこともあり。ですが、構えて行ったら本当にやさしくて、そして現場もとても穏やかだったので、誰も怒る人がおらず、優しい現場でした。

ーーどんなところがすごく優しいなと思いましたか?
まず、いろいろと聞いても必ず教えてくれました。20代前半ということで話もしてくれないのではないかと思っていたので、目を見て話して下さるということに優しいなと思い。さらに、撮影が終わって帰る時も自分のホテルまで車で帰ろうとしたら、監督やスタッフさんたちがバイバイと手を振ってくださり、お見送りしてくださったんですよ。そういう点もとても優しいなと思い感動しました。

ーー志保ってほとんど笑顔が無いですよね。でも最後に手を触られた時に見せる小さい笑顔がすごい印象的でしたが…
私はとても好きなシーンなのですが、基本的に心の距離で表現していたので、触れ合うということをなかなかしてきておらず、最後丑松さんと一緒に進むにあたって手を取ろうかということを、監督がその日につけてくださった演出だったんですよ。

ーー台本にはなかった?
そうです。二人で歩いて行くというシーンだったのですが、手を触れ合うという演出をつけてくださり、触れ合うと、やはり人の温度感は心の距離以上に縮まるものでとてもホッとしたといいますか、この人についてきて良かったということを心から思えたシーンです。ここまで丑松さんに付いてきてよかったと思えたシーンでした。

ーー実際に撮影をしていて特に印象に残ったことは?
丑松さんを想う役だったので、基本的にずっと丑松さんの事を見ていて、カメラが回っていないときもずっと間宮さんの佇まいが丑松さんだなと思っていましたし、時代劇だからこそ、隣に座って一緒に詩を読むというシーンですらドキドキするんですよ。それ以上にただ隣に座るということだけでとてもドキドキして、志保もこういう感覚なのかなということを感じられたのは、結構大きかったですね。

ーー間宮さんと一対一のお芝居がけっこう多かったですが、印象としてはどうでしたか?
京都で撮影するということも相まって、間宮さんという存在が、私の中では初めましてでしたし、丑松さんのイメージでしかないんですよ。なので、対峙していてもどこかに行っていても、ずっと丑松さんだという解釈で間宮さんと接していたので、お芝居をしていても自分は志保だと思えましたし、セットも時代劇なので独特じゃないですか? あの時代のセットなので、今では幻のようです。

ーー切り替えるっていうか、ずっとその世界観みたいな。
そうですそうです。その感覚です。なので、カメラが回っていないときも、そんなに多くは喋らず、二人ともじっと待っていたことがあったので、本当に丑松さんと志保だなと思いました。

ーー志保の演技で一番印象に残ってるシーンは?
とても心が動いたシーンは、丑松さんと生徒達が最後のお別れをするところです。そこで、みんなはしっかりと生きなさいと言うところや、子供たちを見ていると、ト書きには涙が流れるなど書いていないのに、とても感動してしまい涙が出てきました。その時にお芝居をしているのではないんだなと、ここで生きているんだなと思えたので、とてもいいシーンだったなと思います。改めてスクリーンでみても、本当にいいシーンだったので、あのシーンが好きです。

ーー先ほど間宮さんとのシーンでドキドキされたというお話でしたが、間宮さんもやっぱりそういう感じだったんですかね。そういうのを伝わってきました?
先ほどお話をしていて、間宮さんもそういう風に思っていたとおっしゃっていたので、きっとお互いに距離感がわからないからこそ、ドキドキしながら演じていたのかなと思います。

ーー改めて志保の見どころを教えて下さい。
この映画の中で一歩踏み出しているところが、やはりとても大切な部分でもあるので、そこが一番の見どころです。また、志保の持っている強さや負けん気は多くの人に伝えたいといいますか、持っていて損はないことですし、自分を守るために自分を犠牲にする点や、我慢して取り組むという、時代に合ったこともそうですし、その時代に反した想いを貫き通すというかっこいい一面もたくさんあるので、そういう部分をぜひ見てほしいです。

ーーちなみに石井さんは何か隠していることってありますか?
イメージとは違うかもしれませんが、私実は、結構オープンな性格です。色々な人に落ち着いて見えると言われるのですが、全然楽しいことが好きですし、常に笑っていたいので、とても陽な人間です。隠しているわけではないのですが、わかってもらえないことも多いですね。

ーー映画全体の見どころをいただきたいんですが。
この作品は差別がテーマにはなっているのですが、自分らしく歩んでいくことの素晴らしさや、強さや前に進む勇気など、多くの人に響く要素がたくさん詰まっている映画になっていると思いますし、そこが一番の見どころでもあると思うので、是非見て欲しいですね。

ーー原作が知名度がめちゃくちゃ高いので、なんとなくそこに引きづられるようなところがあるかもしれないんですけど。
私たちの世代の方々は時代劇を見るということをあまりしてきていないので、食わず嫌いな人がとても多いと思います。ですが、実際はそういう作品ではなく、この作品は、本当にわかりやすく説明されていますし、表現されているので、とても見やすい作品にはなっていると思います。

ーー石井さんは元々女優志望ですか?
女優志望です。

ーー歌とかダンスの方とういうよりも女優?
習い事としてダンスはやっていたのですが、それを仕事にしようという思いはなく、当時別の夢がありました。ですが、スカウトを受けて事務所に入った段階でお芝居をやりたいと思い女優さんを目指したことがきっかけで芸能界に入りました。

ーー他に夢があった?
そうです。看護師さんになりたくて。ですが、スカウトを受けて事務所に入ったことがきっかけで女優さんになりたいと思いました。

ーー今後の目標というか野望があれば教えて下さい。
夏にミュージカルを控えていて、自分の中で挑戦だなと思っています。今までダンスの経験はあったのですが、歌で表現する事はしてこなかったので、ミュージカルという総合エンターテイメントといいますか、歌とダンスとお芝居全部で届けなければいけない作品でもあるので、何かそういった意味では挑戦し続けるということは常に目標ではあります。

ーー 将来的には?
このお仕事は、年齢関係なくずっとできるじゃないですか。なので、自分の出来るところまでやっていきたいなと言う本当に漠然とした野望のようなものはあります。いつか叶ったねと思えるような目標ではあるのですが、一生続けていきたいと思っています。

ーーありがとうございました。

 

 

あらすじ
瀬川丑松(間宮祥太朗)は、自分が被差別部落出身ということを隠して、地元を離れ、ある小学校の教員として奉職する。彼は、その出自を隠し通すよう、亡くなった父からの強い戒めを受けていた。
彼は生徒に慕われる良い教師だったが、出自を隠していることに悩み、また、差別の現状を体験することで心を乱しつつも、下宿先の士族出身の女性・志保(石井杏奈)との恋に心を焦がしていた。
友人の同僚教師・銀之助(矢本悠馬)の支えはあったが、学校では丑松の出自についての疑念も抱かれ始め、丑松の立場は危ういものになっていく。苦しみのなか丑松は、被差別部落出身の思想家・猪子蓮太郎(眞島秀和)に傾倒していく。
猪子宛に手紙を書いたところ、思いがけず猪子と対面する機会を得るが、丑松は猪子にすら、自分の出自を告白することができなかった。そんな中、猪子の演説会が開かれる。
丑松は、「人間はみな等しく尊厳をもつものだ」という猪子の言葉に強い感動を覚えるが、猪子は演説後、政敵の放った暴漢に襲われる。この事件がきっかけとなり、丑松はある決意を胸に、教え子たちが待つ最後の教壇へ立とうとする。

『破戒』

間宮祥太朗
石井杏奈 矢本悠馬
高橋和也 小林綾子 七瀬公 ウーイェイよしたか(スマイル) 大東駿介
竹中直人・本田博太郎・田中要次
石橋蓮司 眞島秀和

原作:島崎藤村『破戒』 監督:前田和男 脚本:加藤正人/木田紀生 音楽:かみむら周平

配給:東映ビデオ

©全国水平社創立100周年記念映画製作委員会

7月8日(金) 丸の内TOEI ほか全国ロードショー

 

 

☆石井杏奈
公式プロフィール https://www.ldh.co.jp/management/ishii_anna/
Instagram https://www.instagram.com/anna_ishii_official/

 

ヘアメイク 冨永朋子(アルール)
スタイリスト 道端亜未

 

 

 

 

取材 マンボウ北川
撮影・文 記者J

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