辻千恵が義足のモデルを想うマネージャー役を熱演！『シンデレラガール』公開間近！！

モデルデビューの後、女優として活躍し、主演映画『たまつきの夢』がTAMA NEW WAVE2022の「ある視点」部門に正式出品された辻千恵が出演する映画『シンデレラガール』が11月18日公開となる。この映画は大阪２児放置死事件を基にした『子宮に沈める』(13)、フェイクニュースによって自殺に追い込まれる少女とメディアの過熱報道による現代社会の歪みを描いた『飢えたライオン』(17)など、誰もが被害者にも加害者にもなりうる世界を容赦なく描き、問題作を発表し続けてきた緒方貴臣監督最新作。進行性筋ジストロフィー（PMD）と診断されたモデルでもある森山風歩らの監修の元、「義足は障がいの象徴」とネガティブに捉えていた主人公の義足のモデルやそのマネージャーが、ポジティブに捉えられるようになるまでの心の変化が描かれている。義足のモデルのマネージャー役を務めた辻にインタビューができたのでご紹介する。

ーー芸能活動を始めたきっかけはありますか？
福岡で大学に通っていた頃に雑誌のモデルを始めて、卒業してから今のお仕事を始めました。お芝居を始めたのは25歳ぐらいです。

ーー福岡でモデルをされた経緯を教えてください。
知り合いの美容師さんが、「雑誌の後ろの方に載っている地方の“スナップ撮影”があるから行ってみる？」といって連れていってくださったのがきっかけです。

ーーもともとやりたいという気持ちはあった？
実はなかったんです。大学時代の思い出づくりじゃないですけど、そういう感じでした。就活もしていたので、大学卒業とともにモデル活動も辞める予定でした。

ーーそれで、今はソニーミュージックアーティスツさんにいらっしゃるんですか？
25歳ぐらいから所属しています。知り合いの方に「お芝居をしたく、どこか事務所に所属したいんです」と相談して、紹介して頂きました。

ーー今回の作品はオーディションでキャスティングされたそうですが、オーディションの時の印象は？
唯役ではなく桜という看護師役でオーディションを受けたのですが、うまくお芝居できなくてその日は「ああダメだった」と思って帰りました。そして数日後唯役で受かりましたって連絡を頂いて「なんでだろう？」という感じでした(笑)。

ーー後日、緒方監督から説明がありましたか？
緒方監督に「どうして唯役で決まったんですか？」って聞いたら、オーディションの時に緒方監督と撮影監督の根岸憲一さんがいらっしゃっていたそうで、根岸さんが「マネージャーの唯役は辻さんがいいんじゃない？」って薦めてくださったと仰っていました。

ーー撮影の時、特に印象に残っているシーンはありますか？
主人公・音羽のお母さん(役・輝有子)と看護師(役・泉マリン)と私の3人で病室で話すシーンです。私は「音羽(役・伊礼姫奈)に絶対にランウェイを歩かせたい」「絶対に2人を説得する」っていう気持ちで話すんですけど、お母さんの「そっとしておいて欲しい」っていう演技や感情を見た時に、台本には全然なかったんですけど自分の母と重なってしまい涙が出てきちゃって。役から素の自分に戻ってしまいそうでした。「自分の仕事のことしか考えてないんじゃない？ちょっとひどいこと言ってる？」「でも、すごく魅力的なコだから歩かせたい」っていう色んな葛藤がありました。自分を抑えて演じたというのが一番印象的なシーンです。

ーー唯にとって音羽とは？
不思議なぐらい淡々と、そして漂々としてるのが音羽の強さです。いっさい後ろを見てない、前しか見てないからそんな音羽を見て、唯は絶対いけるって自信満々に言えているんだと思います。病室のシーンでは、唯は何がなんでも2人を説得したいから、普通言わないだろうっていうことまで言っちゃうんだなって。でも、そうさせるのも音羽の魅力なんです。体はとても辛いでしょうけど、言葉で「辛い」とか「休みたい」とか言わない。周りが「あれ？」って思っちゃう魅力があるんだと思います。

ーー音羽役の伊礼姫奈さんと共演して特に印象に残っていることがあれば教えてください。
待ち時間のときに、静かに待っていらっしゃったのがすごく印象的でした。口数は少ないけど凛とした姿勢すらも音羽に見えてきたりして…。実は別の作品で一度ご一緒してるんですけど、その時は共演シーンがなかったのですが、今回こんなに強い人間的魅力を持った方の近くにいられる役でご一緒できて嬉しかったです。

ーー義足をつけているのがマイナスなイメージじゃないということを監督が仰っていたと思うんですけど、今回携わって変わった意識はありますか？
撮影前に義足をつけている方とお話しする機会を設けて頂きました。お話するまでは「不便なんじゃないか」って勝手に思っていたのですが、実際に義足を外した足を見せて頂いたり、どうやって生活をしているのかをお伺いして、数時間お話しただけで意識が変わりました。この映画を観た方にも、「義足もただの個性でみんなと同じように生きてるんだな」って思ってもらえるかなと思います。

ーー役柄の見どころを教えて下さい。
私が演じる唯は最初、義足を隠して欲しいと思っているマネージャーだったんですけど、「なんで今まで私はこれを隠そうとしてたんだろう。めちゃくちゃかっこいいじゃん！」という気持ちの変化があります。自分的には変わろうとしてないけど、音羽がいることで自分の仕事のへのモチベーションが変わっていくんです。見どころは「音羽のような魅力的な人が近くに居ると自然と自分も変われるんだっていうところ。自分の意識していないところで変化をしている時の人間ってわりと周りが見えてないですけど、とてもエネルギーがあると思うんです。前に突き進んでいくエネルギーのある役に出会えてよかったなと思っています。

ーー映画全体の見どころを教えて下さい。
テーマだけ見るとちょっと可哀想な映画なんじゃないかなって思われるかもしれないのですが、そういう映画ってみんなが「主人公頑張れ！」と思うことが多いんですけど、本作は、主人公が輝いてて、強すぎるくらいに手を引っ張ってくれて、、一切哀しいと思わない。観ている方までも引っ張ってくれる、新しい導かれ方をする映画かなって思います。

ーーマネージャー役をやってみて、ご自身のマネージャーに思うことはありましたか？
こんなに近い存在なのに「なんでこんなにもわかってなかったんだろう」って思いました。自分がこのお仕事を始めたきっかけもモデルだったんですけど、自分が通ってきたであろう道なのに「一番近くにいる人のことを全く考えてなかったんだ」ということに気づいてとても考えさせられました。近いからわかるだろうって最初は思ってたんですけど、近いからこそわからないことがたくさんありました。モデル時代にお世話になっていた方に話を聞いてみたら、全部一人では気づけないことばかりで発見の連続でした。

ーーほかに映画に関して言っておきたいことがありますか？
テーマとかに気負いせず、気軽に見て欲しいなって思います。二度三度観て頂けたら嬉しいです。

ーー今後の予定とか目標とか野望とかあったら教えてください。
音羽みたいになりたいなって本気で思いました。口で全部説明するんじゃなくて、生き様で人を惹きつけるような魅力が出せれば無敵だなって思いまして…。

ーー今後特にこんな役やりたいとかそういうのあったりしますか？
ちょっと癖があるような役をやっていきたいです。

ーーありがとうございます。

あらすじ
12歳の時に病気で片脚を切断した音羽。その後も入退院を繰り返し、中学校の卒業式にも参加できなかった。そんな音羽のために、クラスメイトたちがサイプライズの卒業式を病院の屋上でして、その動画がSNSで話題になり、音羽にモデルのオファーが舞い込む。義足の女子高校生モデルという特異性もあり、一時的に注目されるも、その後のモデルとしての仕事は義足を隠したものばかりだった。

一方、マネージャー・唯は、音羽と一緒に義足のファッションブランドで「義足を障がいの象徴でなく、個性として捉えてほしい」という理念を聞き、心を動かされる。義足をもっと押し出していこうと決める二人。やがてファッションショーに出演できるチャンスがやってくるが…

☆映画『シンデレラガール』11月18日（土）より新宿K’s cinemaにて連日正午からほか全国順次公開

※辻千恵、根岸憲一（撮影監督）は、11/20（月）及び11/23（祝・木）の上映後トークイベントに登壇！

伊礼姫奈
辻千恵　泉マリン　太田将熙　輝有子　佐月絵美　三原羽衣　田口音羽
筒井真理子

監督：緒方貴臣
脚本：脇坂豊、緒方貴臣
撮影監督：根岸憲一
音楽：田中マコト、菱野洋平(WALL)
義足監修：臼井二美男
プロデューサー：榎本桜、緒方貴臣、塩月隆史、 杉山晴香、夏原健、森山風歩
製作：paranoidkitchen、リアルメーカーズ、ラフター
配給：ミカタ・エンタテインメント

2023年／日本／ カラー／16:9／5.1ch／61分
(C)2023映画『シンデレラガール』製作委員会

公式サイト：https://cinderella-girl.paranoidkitchen.com/
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☆辻千恵
1993年10月9日生まれ。佐賀県出身。
2014年モデルデビュー。2018年にショートフィルム『桃の缶詰』で主演を務める。
以降の作品に、映画『たまつきの夢』（19）、『はちみつレモネード』（20）、『この小さな手』（23）、『サイドバイサイド』（23）など。月9ドラマ「女神の教室」には篠田優菜役で出演。

公式プロフィール　https://www.sma.co.jp/s/sma/artist/544?ima=0000&link=ROBO004#/news/0
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インタビュー　マンボウ北川
撮影・文　記者J