2025.10.17 upload

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古澤メイ、戸田彬弘監督と共に描く――ヤングケアラー・爽子の心に寄り添う“知られざる青春”

映画『爽子の衝動』で主演を務める古澤メイが、ヤングケアラーとして日々を懸命に生きる少女・爽子に挑んだ。本作の監督は、『市子』などで人間の内面や社会の影を丁寧に描き出してきた戸田彬弘。生活保護を受けながら、自分の夢や日常の楽しみを守り抜く爽子の姿を通して、日本社会が抱える若い世代の現実に光を当てる物語だ。
古澤は、単に状況を描くのではなく、爽子自身の感情や目線に深く寄り添い、繊細な心理を映像に刻む。撮影は湯河原の自然の中で行われ、監督・スタッフとの信頼関係のもと、主演としてのプレッシャーを感じることなく役に没入できたという。苦しい現実に直面しながらも、自分らしい“日常の光”を守る爽子の姿は、多くの観客に共感と希望を届けるだろう。

 

 

――今回の映画にはどのようにして出演することになりましたか。

私はちょうどこの撮影が始まる1年ぐらい前、とある舞台を観た帰りに戸田監督とお食事をする機会があって。私がちょうど自分の出演していた舞台が終わって、この今持ってる熱を次にどこに向ければいいんだろうっていう、今後の役者としての焦りがあった時期で、それを戸田監督にお話をした際に、じゃあ映画を作ってみようかっていうお話になって、そこからこの企画が動きました。

 

――“撮影が始まる1年前”というのは実際にはいつのことですか?

今からちょうど2年前です。2023年の9月~10月頃ですね。撮影は去年の9月の終わりからやりました。

 

――場所はどこで?

湯河原で撮ってます。

――戸田監督率いる「チーズfilm」にご所属。これはいつ頃からですか?

確か2年前の8月くらいです。

 

――ちなみに、ご所属になるというのはどのようにして決まったんですか?

以前には養成所に通っていてお芝居を習っていたんですが、チーズfilmに自分から応募して、戸田監督にお芝居を見せる機会があったり、あと自社で運営してるワークショップとかに参加させていただいて、それから所属になりました。

 

――所属したいと思った理由はありますか?

会社で映画とか舞台を作られてるっていうのもあらかじめ知っていましたし、養成所にいた期間が4年間で、今後やっぱり習ってるだけじゃなくて、これを使ってどんどん現場に立っていかないといけないって思った時に事務所選びが始まって。自社で作られてるっていう面と、戸田監督や他のマネージャーさんに初めてお会いした時に、すごく人として信頼できる方々がたくさんいらっしゃるなっていう面から、この事務所に入りたいなって思いました。

――撮影のときのことを教えてください。

爽子(そよこ)という女のコを私は演じさせていただいたんですが、初めて台本を頂いた時にものすごく衝撃を受けて、爽子の置かれている状況にすごく心が締め付けられる思いがあって、苦しくなったんです。自分が演じるにあたっては、置かれている“その状況”ではなくて、“爽子自身の状態”を見てあげること。爽子が生活保護受給者だったり、ヤングケアラーだったり、社会的につけられてる名称として見るのではなくて、爽子自身のことを見てあげることが私自身の役割だなと感じていました。本当にひとつずつ、爽子のことを知っていかないといけないなって思いながら撮影に参加しました。

 

――撮影の雰囲気はどうでしたか?

戸田監督もスタッフさんも、『市子』のスタッフさん方が集まってくださっていたので、チームワークができている座組の中に私が入れさせてもらえたというか…。主演だからというプレッシャーも気負うことなく、湯河原での撮影は本当にすぐ爽子のことだけに集中できる時間をいただけていました。スタッフの方とかも同い年の方がいて、親近感があって、演じやすい現場でしたね。

 

――演じる爽子は、生活保護の申請とか重いこともしますが、負荷はありませんでしたか?

もちろんありました。自分個人としての心の負荷は、自分が爽子という人間を知って、そこから社会を見たものでした。知らないといけないこと、今まで目を向けてこなかった題材にも向き合う機会をもらえたのでありがたい経験でしたし、精神的に辛い部分も知ることができました。分かった気でいることが一番恐ろしいなと改めて思いました。


――プライベートで限界を感じたことは?

高校時代に体調を崩して病気になり、死と近い時期がありました。学校に行けず引きこもり、現実世界に希望を見出せなかったので、映画の中で自分の居場所を作っていた時期がありました。その経験が、今の自分の芝居の原点になっています。

 

――役作りの細かい部分について教えてください。

爽子には裏設定でADHDがあります。誰しもが持つ可能性があるものですが、監督とワンシーンずつ確認しながら、衝動や音、ただ歩くシーンでも何に興味を示しているかなど、些細なことに注意を払いました。

 

――役柄や映画の見どころは?

爽子の身に起こることは苦しいですが、私は爽子自身の日常の楽しみや夢を守りたいと思って演じました。映画全体としては、生活保護やヤングケアラーの問題に焦点を当てているので、若い世代の方々に見てもらいたい作品です。お客様には、知ることや関心を持つきっかけとして受け取ってほしいです。

 

――今後の目標や野望は?

とても大きくなってしまうのですが… 世界平和です。自分の芝居を通して関われるなら、どんどんやりたいと。映画には力や可能性があると思うので、自分の表現で良いエネルギーを生みたいです。将来的には朝ドラにも出演したいです。

ーーいつも皆さんに聞くんですけど、最近ハマっていることは?

筋トレです。ジムに行くことですね。私の趣味というか好きなものって全部家で済ませられるものなんですよ。映画を見たり、本を読んだりとか。
なので、運動は元々好きなので、運動しようって思い立ってジムに通い始めてるんです。

 

ーーどこのジムに行ったらお会いできますか?(笑)

言いません!(笑) 出来ません!(笑)
でも、やっぱり心が前向きになりますね、運動って。筋肉は裏切らないみたいな。ちゃんと頑張ったら筋肉痛になってくれるし、本当に真っすぐでわかりやすいので、これからも継続していこうと思います!

 

――ありがとうございました。

 

▼あらすじ
父とふたり、私たちは、どこにも行けない———

四肢麻痺と失明を抱える父・保(間瀬英正)と暮らす19歳の爽子(古澤メイ)は、絵を学びたい夢を心に秘めたまま、介護と生活費のために日々を費やしている。
生活保護の申請も水際作戦で通らず、社会から孤立していく中、唯一頼りにしていた訪問介護士が交代し、不安を募らせる。
ある日、ケースワーカーの訪問をきっかけに、爽子の生活はさらに不安定になり、心のバランスを崩していく。
そんな中、新しい介護士・さと(小川黎)が現れる。抑えきれない衝動が、爽子を取り返しのつかない行動へと駆り立てていく──。

 

▼予告編

▼キャスト・スタッフ
古澤メイ
間瀬英正、 小川黎
菊池豪、 遠藤隆太、 木寺響、 木村恒介、中川朱巳/黒沢あすか、 梅田誠弘

監督・脚本・編集:戸田彬弘
プロデューサー: King-Guu、 亀山暢央、 戸田彬弘
アソシエイトプロデューサー: 西原龍熙
ラインプロデューサー:深澤知
撮影 : 春木康輔 照明: 藤井隆二 録音:北野愛有 美術:坂入智広 ヘアメイク: 七絵
助監督:片山名緒子
MA・音響効果: 吉方淳二
VFX: 三輪航大
スチール: 柴崎まどか
宣伝美術:大久保篤
挿入歌 : 「ダーリン」 Norenn
インティマシーコーディネーター:西山ももこ
医療監修:堀エリカ
絵画指導: 間瀬英正
製作: basil、 チーズ fillm
制作協力: ポーラスター
特別協賛: レジェンドプロモーション
制作プロダクション: チーズ film
© 「爽子の衝動」製作委員会 2024年 45分 アメリカンビスタ 5.1ch

 

▼URL
公式サイト https://www.soyoko-movie.com/
X https://x.com/soyoko_movie

 

 

☆古澤メイ
2000年生まれ。東京都出身。映画・演劇を中心に多岐に渡る作品に出演。
テレビドラマ『UNREAL』、『愛の、がっこう。』、『風のふく島』、『不適切にもほどがある!』、『海のはじまり』、『ノロイヲアゲル』など。舞台では『さえなければ』(ヒラタオフィス+TAAC)、『狂人なおもて往生をとぐ』(TAAC)など。本作が映画初主演となる。

公式プロフィール https://www.cheese-film.co.jp/mei-furusawa
X https://x.com/furusawa_mei
Instagram https://www.instagram.com/mei.furusawa/

 

 

インタビュー マンボウ北川
撮影・文 記者J

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記者J

地球上すべての美しい女神を求め東奔西走。今でいう推し活をむかーしから実践していた漢

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