2025.10.24 upload

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彩香×谷藤海咲、“笑えない世界”の中に見つけた希望──映画『笑えない世界でも』初日舞台あいさつレポ

言葉を超えた想いが交差する静かな世界。
映画『笑えない世界でも』の初日舞台あいさつが都内で行われ、主演の彩香、谷藤海咲、岡本充史監督らが登壇した。本作は、日常の当たり前が決して当たり前ではないことを、淡く、しかし確かな光で映し出す物語。短編の延長のような親密さと、少人数での濃密な撮影体験を経て生まれた“優しい世界”は、観る者の心にそっと寄り添う。

舞台あいさつには、そんな作品の温度を体現するように、笑顔と緊張感、そして役と向き合った真剣な眼差しが混ざり合い、会場は上映前からすでに静かに熱を帯びていた。「川本優花役を演じさせていただきました、彩香です。こうして無事に公開できて本当にうれしいです」と少し緊張した面持ちで語った彩香。岡本監督との短編からの縁をきっかけに再タッグが実現した本作について、「監督の描く世界にはいつも“優しさ”があるんです。悩んでいると、すぐに“こうしてみれば?”って声をかけてくれる方で、そんな信頼感があって、すぐに“やりたいです”と返事しました」と笑顔を見せた。会場からは小さな拍手が起こり、観客の期待感がひしひしと伝わる瞬間だった。

谷藤海咲も、「岡本監督とはドラマ『先に生まれただけの僕』でご一緒して以来、長くお世話になっています」としみじみ語る。初めての長編映画への参加は、「監督にとって大事な作品に自分が関われるのが本当にうれしかった」と笑顔を見せた。セリフが少ない役柄に挑戦した彼女は、「言葉に頼らず、どう伝えるか。目線や表情、動きのひとつひとつに集中していました。伝えたい気持ちだけで動いていた」と振り返り、会場からは感嘆の声が漏れた。

岡本監督は、「純粋に3人のお芝居がすごく好きで、日本一を取れると思っている人たちにお願いしました」と俳優陣への絶対的な信頼を語る。さらに、本作はわずか7人のチームで制作され、カメラ、照明、美術、衣装まで監督自らが兼任するという“究極の少人数撮影”。「現場の空気がそのまま絵になる。みんなが支え合うチームで、100人規模の映画とは違う濃度が生まれました」と語る監督の表情には、誇りと安堵が入り混じっていた。

撮影の裏側も印象的だった。谷藤海咲は、「上田での撮影は氷点下の寒さの中、裸足で雪を走るシーンもあった。本当に寒くて、途中でカイロを貼ったりして…。でもその大変ささえも、みんなで助け合いながら乗り越える楽しさがあった」と笑う。

本作は、言葉を超えたコミュニケーションや感情のやり取りが印象的だ。谷藤海咲は「後半は自分の中で役の気持ちが定まっていたので自然に演じられましたが、前半は言葉を使わずにどう伝えるかを常に意識していました」と語り、観客の前で披露した演技への緊張感や思いを静かに伝えた。

最後に彩香は「この映画に出会えたこと、優花に出会えたことが本当に幸せです。今日こうしてお客さんの前で話せる日が来て嬉しい」と感謝を伝え、谷藤海咲も「公開期間は長くありませんが、ぜひ何度でも映画館に足を運んで、この作品の世界に触れてほしいです」と呼びかけた。
“笑えない世界でも”、そこには確かに笑顔と温かい繋がりがあった。小さなチームが紡いだ静かな奇跡を、スクリーンでぜひ体感してほしい。

 

▼予告

▼あらすじ
いじめの被害者から一転、ある事故で加害者となり、
家族から見放され鬱々とした気持ちで町工場で働いている“ぼっち”の川本優花(22)は、
ある日、“ぼっち”になってしまった水川凛(21)と出会う。
理不尽でどうしようもなくて逃げ場がない日々が続く中、
優花と凛の静かな会話とともに 二人の距離は近くなり、
諦めから希望に向かって少しずつ動きだしていく―――。

▼キャスト・スタッフ
彩香 谷藤海咲
松岡亜依 藤崎朱香 林隼太朗
野村啓介

監督・脚本・撮影・編集:岡本充史
音楽:横関公太

製作:加藤幸二郎 製作統括:長濱薫 エグゼクティブプロデューサー:佐藤悌 プロデューサー:渡邉浩仁
助監督:上村ロマンス晴一 録音:三田村隆行 制作:山岸咲恵
ミュージックエディター:榊原聡志 音響効果:荒川翔太郎 ダイアログミキサー:大辻愛里
仕上げプロデューサー:福井悠貴 グレーディング:中原銀太 オンライン編集:石井康裕
CGコンポジター:松本絵里子 DIテクニカルディレクター:斎藤岳史 オンラインエディター:中野一生
マスタリング:新谷彩 ポスプロコーディネーター:千陽 裕美子 ポスプロマネージャー:岡田 浩二
予告編:瀬戸山真也/小川智生/福田豊 メイキング:長餅透 メディアプランニング:くるみ/峰島美咲

国内販売:岡崎真美/嶋田青/カタオカパウラ/石井理恵子/林 舞子/津留優子/高津英奈/齋藤理香
海外販売:古山真由美/佐藤直子 権利処理:東原由実/早乙女あすか
字幕編集:板橋 昭夫/髙安さやか 英語字幕協力:David Klug
劇場営業:川村静哉 宣伝:横手実 坂本理砂 デザイン:黒田秀樹 WEB制作:宮脇秀文

2025年/日本映画/86分/カラー/ビスタサイズ/5.1ch
配給:フリック (C)日テレ アックスオン

 

▼URL
オフィシャルサイト https://www.ax-on.co.jp/sp/sekaidemo/
X https://x.com/waraseka25
Instagram https://www.instagram.com/waraseka/

 

☆彩香
2002年4月9日生まれ。
2024年本作にて、<第10回賢島映画祭最優秀女優賞>を受賞。テレビ東京 ドラマNEXT『私の町の千葉くんは。』(24) テレビ東京 ドラマNEXT『ひだまりが聴こえる』(24) CBC『民宿のかくし味』(23) 舞台『リプシンカ 〜ヒールをはいた男!?たち〜』(22)など

Instagram https://www.instagram.com/sayaka__380/

 

☆谷藤海咲
1999年9月22日生まれ。
2023 年にアイドルグループを卒業。舞台『昨日の月』(25) 舞台『not only you but also me』(24) NHK 連続テレビ小説『おむすび』(24)ほか

公式プロフィール https://hirata-office.jp/talent_profile/woman/tanifuji_misaki.html
X https://x.com/mt0922_official
Instagram https://www.instagram.com/tanifuji_misaki/

 

 

取材 マンボウ北川
編集 記者J

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記者J

地球上すべての美しい女神を求め東奔西走。今でいう推し活をむかーしから実践していた漢

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