2022.06.05 upload

人知れず“死にたい”JKを初主演で演じた阿部百衣子をずばり!インタビュー

Actress

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女優の阿部百衣子が初出演で初主演となる映画『頭痛が痛い』が公開中だ。ぴあフィルムフェスティバルの「PFFアワード2020」で審査員特別賞を受賞した本作。“死にたい”気持ちを共有し合う女子高校生がお互いに助け合うシスターフットロードムービーで優等生のいく役を演じた阿部はどんな演技をしたのだろうか? 阿部にインタビューができたのでご紹介する。

ーーまずこの映画に出るいきさつというのは?
オーディションです。

ーー受けようと思った理由があったりしますか?
私は大学入学時に東京に上京してきているんですけど、多摩美術大学で演劇を4年間やってずっと舞台中心だったんです。舞台のお芝居をずっとやっていても、映像もやってみたいなあというタイミングで知り合いの方から「こんな映画のオーディションあるけど受けてみる?」って言って頂いたのがきっかけでしたね。なので映像作品に出演すること自体が初めてです。

ーー主役を取れた理由というか決め手みたいなものはありましたか?
監督からあとで聞いたお話なんですけど、オーディションの際に監督が受けた全員に「死にたいって思うことありますか?」という質問をされていて、私はすごく素の感情で「誰でもあることなんじゃないですか」みたいな感じでさらっと言ったんですよ。そしたら監督の中で「これは(島内)いくだ」と思ったみたいで。そのかわし方というか、皆さんオーディションを受けている方々が神妙な感じで話されるところを私だけさらってかわしたのが印象的だったみたいで、それが決め手だったみたいです。

ーー役にも生きてるということですか?
そうだと思います。脚本を初めて拝読した時に、私自身に共通する部分というか近い部分があるなと思いました。いくは、自分自身が作り上げた偶像というか「私はこういう人間である、いい子でなければいけない」みたいなものによって自分自身の首を絞めます。嫌だと思っていることにも嫌だと言えなかったりとか、「大丈夫だよ」とか「ハハハ」みたいなところがすごく当時の自分に近くて、多分そういう所を監督は見られたんじゃないかなと思います。

ーー改めてなんですが簡単に自己紹介的なことを頂いていいですか。
阿部百衣子と申します。俳優をやらせて頂いております。小さい頃にアメリカに住んでいたんですが、日本に帰ってきて、それから何か表現に携わる仕事がしたいなと思いました。海外から帰ってきたのもあって人と上手くいかないとか環境になじめないみたいなことがあったときに、すごく自分の支えになってくれたのが映画やドラマだったので、自分の体とか表現を通してお芝居をしたいなぁと思ったのをきっかけにお芝居をやらせて頂いております。

ーー特に支えになったというか影響を受けた作品はありましたか?
「これ」っていうのが今すぐ出ないんですけど、中学に入るぐらいの当時は凄くドラマを見ていましたね。

ーーこの映画を撮ったときのあの髪型がとても印象的なんですが、あれは役作り?
あんまり定かには覚えてないんですけど、監督は特段こういう見た目にしてくださいとかは仰ってなくて、たぶん当時私がしていた髪型がそのままのびた形です。ショートカットでもなんかちょっと個性的ですよね。だいぶ巻いて、前髪が重たい感じで、当時はそれが可愛いと思ってたんですけれども、それをそのまま生かされた感じですね。

ーー撮影で特に印象に残っていることとかは?
最後の山場の森の中のシーンがあるんですけれども、あれを撮影したのが2月の中旬の一番寒い時期で、撮影も夕方ぐらいに現場到着して、その夜から結構長く撮影して、翌日の朝東京に戻ってくるみたいなスケジュールだったんですけれども、足も出てるし、とにかく寒かったです。多分そのおかげでリアルな小声と震えみたいなものがずっとある緊迫感のあるシーンが撮れたんですけど、あの時間は忘れられないですね。とても臨場感・緊迫感がありました。

ーーせとらえとさんも同じことを言ってましたよ、ほぼ同じ(笑)。
本当に本当に寒かったですね。しかも10分ぐらいの長回しをしてるんですけど、OKが出なくて4、5テイクぐらいしていて、芝居もうまくはまってないしどうしようっていう、自分の中でもどうしたらいいか分からない、でも終わらせなきゃいけない、時間はあるけど体は限界みたいな記憶がありますね。

ーーこの役をやるにあたって監督さんからはあまり要求が具体的にはなかったみたいですね。
そうですね。監督は「阿部さんの思ういくでいてください」っていう風に仰って、私なりにいくと共鳴する部分とか裏表がある所とか奥底にある感情がある事とか、自分なりに解釈してやってたんですけれども心配なのでその都度その都度「こういう感情で芝居してるんですけど」とか「この方向性であってますか」とか鬱陶しいぐらいに確認をしながら演技していました。

ーーその中で特に意識したこととかあったりしますか?
いくは自分が思ういい子ちゃんでいなきゃいけないと思ってるので、実際にいくがしている行動とか言っていることの裏にある感情とか心の奥底にある葛藤、いい子でいなきゃいけないけど本当に思ってる自分自身の気持ちとの葛藤みたいなものを表現できればっていうのは意識しながら演じてました。

ーーその具体的なシーンはありますか?
後半部分はカットされてしまったんですが、いくは何でもごまかそうとするので、学校で女友達に「バファリンある?」って聞かれて、彼女自身は多分生理が苦しいから薬を貰いに来てるんだけど、その後男子高生にちゃかされた時に「偏頭痛持ちだよ」っていらない嘘をつく、みたいなそういうところはすごくいくらしいなあって思います。

ーー改めていくとしてのこの映画での見所とこの映画全体の見所をそれぞれ頂きたいのですが。
いくについては、たぶん前半とか特に「こいつ何考えてんだろう」って思われると思うんですよ。しかもいい子ぶっているみたいなところが人によってはイライラされるかもしれないと思うんですけれども、ちょっとそこのイライラを堪えて頂いて、本当のところは彼女は何を考えてるんだろうなとかを想像しながら見て頂ければうれしいです。全体の見所としましては、生きているといろんな不条理だとか苦しいこととかがある中で、歳を取れば取るほど綺麗に生きなきゃいけないみたいな風潮があるじゃないですか。自分自身に嘘をつかなきゃいけないとか弱音を吐けないとかあると思うんですけど、『頭痛が痛い』の映画の中の鳴海(せとらえと)といくは、ダサいぐらいに泥臭く必死に生きるっていうことと向き合っている主人公たちだと思うので、泥臭くてもいいじゃんみたいな、たまには綺麗じゃなくてもいいじゃんみたいなことを思ってもらいたいです。
ーー2018年の撮影で22歳だったかと思いますが、いわゆる高校生役を演じられるということでなんか特に意識したことがあったりしますか?
当時はまた高校生かっていうのは正直思わなくはなかったんですよ。大学を卒業した年の映画撮影だったんですけれども、イケるかっていうのは正直ちょっと思いました。意識したことは、休憩時間とかにせとらえとさんと待ってる時にお菓子のシェアをしたりとか、二人でツーショットを撮ってみたりっていう、ちょっと高校生らしいことはやってみました。気持ちも高校生になろうかなっていう感じで。

ーー改めてこの時期に公開になったことについて
監督が仰っていたんですけど、2018年に起こったオリンピック問題だとかその時のモヤモヤを作品にしたっていうことで、やっぱりそのとき描きたかった感情を伝えたかったそうですが、コロナがあっていろんなことがあった今だと多少ずれが生じるんじゃないかなと思うんですけれども、時代と一緒に成長していけるというか意見が変わる映画になったらいいなというのは思うので、その意見を聞くのが楽しみでもあり怖くもあります。何かしら感じとって頂いたらいいな。それこそ誰か救われるって言ったらおこがましいですけど誰かの力になれる映画になったらいいなというのは思ってますね。

ーーこれからどうしていこうみたいなことはありますか?
自分が初めて出た映画、今観ると拙い部分が多いので恥ずかしさの方がかなりあるんですけれども、でもやっぱりこうやって公開して誰かの元に届くというのが凄く嬉しくて、それによって誰かの力になれたらいいなというのが俳優を始めたきっかけでもあるので、もっとたくさんの作品に出て俳優として大きく成長していけたらいいなと思っております。

ーーありがとうございます。

 

 

 

あらすじ
東京五輪に向けた新国立競技場の建設が進む 2018 年の東京。不登校気味の高校生・鳴海(せとらえと)は ライブ配信を行うことにより、行き場の無さを埋めようとする。鳴海の同級生・いく(阿部百衣子)はいつ も明るく振る舞う反面、形容しがたい憂鬱な気持ちを吐き出せずにいた。ある日いくは、梶井基次郎の『檸檬』のように、自分の遺書を赤の他人の家に投函することで憂鬱を晴らそうとする。その遺書を読んだ鳴海と、フリージャーナリストの直樹(鐘ヶ江佳太)は、いくが発するSOSを感じ…

 

出演:阿部百衣子 せとらえと
脚本・監督:守田悠人
配給:アルミード
2020/日本/カラー/16:9/2.1ch/108分  (c)KAMO FILMS

公式サイト:https://zutsugaitai-movie.com/
Twitter:https://twitter.com/eiga_zutugaitai
Facebook: https://www.facebook.com/zutsugaitai

 

6月3日(金)よりアップリンク吉祥寺にて公開中ほか全国順次公開

 

 

 

☆阿部百衣子
Twitter https://twitter.com/bemokosan
Instagram https://www.instagram.com/bemokosan/

 

 

 

インタビュー マンボウ北川
撮影・文 記者J

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